グリーソンHC「彼のディフェンスとハッスルは世界のどこに行っても通用する」
千葉ジェッツは10月20日、ホームで京都ハンナリーズと対戦。92-84で千葉Jが勝利した初戦のハイスコアゲームから一転しロースコアの展開となる中、後半をわずか15失点に抑える鉄壁のディフェンスによって千葉Jが68-57で制した。
試合の出だし、千葉Jは京都の岡田侑大に第1クォーターだけで13得点の大暴れを許し、流れを渡してしまう。また、多くのオフェンスリバウンドを取られ、ターンオーバーが目立つなど、波に乗れずに33-42で前半を終えた。それでも、後半は持ち前のインテンシティを取り戻し、フィジカルで京都を圧倒したことで、逆転勝利へと繋げた。この堅守をもたらしたのがマッチアップの変更だった。岡田に対して、207cmのサイズと機動力を備えたディー・ジェイ・ホグをつけることで、第1クォーターにやられてしまった彼のドライブを抑えることに成功。攻撃の起点を封じることで京都のオフェンスを一気に停滞させた。
ホグの見事なディフェンスに加え、見逃せないのは原修太の奮闘だ。ホグが岡田のマークにつけたのは、187cmの原が203cmのアンジェロ・カロイアロをしっかりと1対1で対応し、サイズのミスマッチを突いたアタックを許さなかったからこそ。
リーグ随一のフィジカルモンスターである原は、これまで何度も自分より一回り大きい外国籍ビッグマン相手にも当たり負けしない姿を見せてきた。この卓越した守備力は、今シーズンから就任した千葉Jのトレヴァー・グリーソンヘッドコーチも「原は私たちのディフェンスリーダーです」と絶大な信頼を寄せている。
また、指揮官は次のように、原の守備にこだわるメンタリティーを称えている。「彼は点を取られると、それが自分のマークした相手ではなくとも個人的なことと受け止めてくれます。そこに彼のディフェンスに対するプライドを感じますし、だからこそ彼は素晴らしいディフェンダーです。強靭なフィジカルは素晴らしく、彼のディフェンスとハッスルは世界のどこに行っても通用すると思います」
原本人は、カロイアロ封じについて「僕自身の変化はないですけど、ヘッドコーチが変わっても(外国籍の守備を)任せてもらえるのは自信になります」と語り、周囲のサポートのおかげと続ける。「また、僕がつくことによって周りのディージェイ(ホグ)やムーン(ジョン・ムーニー)がヘルプに寄れるメリットがあります。1人で守っている感は特にないですけど、ディフェンスの強みを信頼して任せてもらえるのはうれしいです」
田代との地元出身の同級生コンビ「優勝した後で『本当に俺らすごいな』って言いたい」
指揮官のディフェンスリーダーという言葉については「ポイントガードについている時は意識しています」と語るに留めたが、中心選手の1人という責任と自覚はしっかりと持っている。
「ここまで前半でのファウルが多いので、コーチにも『前半は一個までにして』と言われています。今日も前半、岡田選手に結構やられている部分があって、もう少し攻めのディフェンスを見せたかったところもありました。ただ、そこはファウルをしてはいけないですし、責任を持って引っ張っていけたらいいなと思います」
今、千葉は試合終盤のゲームクロージングの場面で、新戦力の田代直希がコートに立っている場面が多い。高いゲーム理解力を持ち、勝つ術を知っている田代は、原と同じ船橋市出身の同級生で2人は小学生の時から試合で対戦したこともある間柄だ。
原は田代の加入について「上から目線になってしまいますけど、琉球で良い時も悪い時も経験して、純恋歌を聴いていたヤンキーがすごく良い選手になってきています。一緒にやっていてすごく気が利く選手で、ディフェンスでスイッチする時など何も言わなくてもできます。同年代とか関係なく素晴らしい選手が入ってきてくれてうれしいです」と笑顔を見せる。
リーグ随一のタレント集団である千葉Jにおいて、同級生の幼馴染みが揃ってチームに在籍し、ともにローテーション入りして試合に出ているのは特筆すべきことだ。ただ、原は「特にグッとくることはないです。タイトルを取った後、すごいって思えるようにしたいです」と冷静だ。何故なら、田代と一緒に分かち合いたい喜びがあるからだ。「同年代のホームタウンプレーヤーが2人同時に在籍することも、これから増えていくかもしれない。だからこそ、ここで優勝して、その後で『本当に俺らすごいな』って言いたいです」
開幕2試合目で渡邊雄太の負傷という大きなマイナスがある中でも、千葉Jは順調に白星を重ねている。そこには原の攻守に渡るスタッツ以上の貢献が大きく寄与していることは間違いない。