[CLOSE UP]狩俣昌也(シーホース三河)エリート軍団で存在感を高める『叩き上げの星』

[CLOSE UP]狩俣昌也(シーホース三河)エリート軍団で存在感を高める『叩き上げの星』

2017/03/19

文・写真=鈴木栄一

先発で迎えた大一番「緊張というより楽しみでした」

今節で最も注目を集めたカードはシーホース三河と川崎ブレイブサンダースの対決だ。昨シーズン、最後のNBLファイナルで最終戦までもつれる激闘を繰り広げ、今シーズンもここまでともに地区首位と初代Bリーグ王者の有力候補に相応しい強さを見せている。

その大一番において三河の連勝に貢献したのが狩俣昌也だ。

日本代表、橋本竜馬の故障欠場をうけ、今回の2連戦で三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは、経験豊富なチームリーダーの柏木真介もいる中で今季から加入した狩俣を先発に抜擢した。そして狩俣は、第1戦に約23分出場で5得点3リバウンド3アシスト2スティール。第2戦には約18分出場で8得点3リバウンド2アシストを記録。

この2試合合計でシュートを計7本放って5本成功、ターンオーバーはわずか1。この数字が示すように、持ち前のフィジカルの強さを生かしたディフェンスと、チャンスで確実に決めるシュートなど堅実なプレーが光った。

そのインパクトが数字以上だったことは、以下の指揮官の称賛が物語っている。「橋本がケガをしたことでスタートに抜擢しましたが、練習中から『自分がやらなければ』と良い動きをしてくれていました。この2試合に勝てたのも彼の活躍があったからこそ。シーズン当初は遠慮しながらプレーしていた面もありましたが、昨日今日とディフェンスでアグレッシブに行ってくれました。今はガード陣が故障者で手薄な中、彼が自分の役割をしっかりやってくれたことでチームの底上げになったと思います」

狩俣本人は、今回の先発起用について「緊張というより楽しみで、良い感じにテンションが上がって割と落ち着いていました。ディフェンスでプレッシャーをかけ、空いたら3ポイントを決めるといった、自分が求められていることをやろうと思っていたので、そこは最低限できたかと思います」と振り返る。

柏木、橋本を相手に練習することで成長する日々

ちなみに狩俣はプロバスケ選手となってから昨季までbjリーグ時代の千葉ジェッツ、琉球ゴールデンキングス、福島ファイヤーボンズに在籍していたが、複数の日本代表選手が在籍する国内屈指のタレント集団でプレーするのは今回の三河が初めとなる。

「プロになると決めた時から、いつかこういうチームでプレーしたいと思っていたのでうれしかったです」と、三河への入団が決まった時の気持ちを語る狩俣は、「本当にレベルの高いメンバーがいるのは分かっていましたが、練習で一緒にプレーしてみて改めてレベルの高さを感じました」とやりがいを語る。

同じポジションに橋本、柏木という国内屈指の能力、そしてリーダーシップを誇るポイントガードがいることには、「練習はもちろんのこと、プライベートでのおしゃべりからも、いろいろと学ぶことはたくさんあるので、毎日が楽しいです」と続ける。

また、「シーホースの練習で通用すれば、他のチーム相手にでも通用する。そういう部分は大きいと思います」と普段の練習で柏木、橋本を相手にしているからこそ、成長できている面を強調する。

「これからプロバスケ選手を目指す若い選手のために」

ちなみに三河に所属している日本人選手の大半は、高校もしくは大学時代からトップレベルで活躍していたエリート街道を歩んできた選手たち。一方の狩俣は沖縄の名門、興南高校出身ではあるが、注目を集める存在ではなかった。そして大学は関東3部の国際武道大学であり、ここでもスポットライトを浴びたことはない。

大学卒業後、プロバスケ選手の第一歩となったbjリーグ時代の千葉ジェッツではベンチを温める試合が続く。翌2013-14シーズンは地元の琉球に移籍し、当初は2番手ポイントガードとして安定したプレータイムを得ていたが、シーズン途中に並里成が加入すると、再びベンチで過ごす日々が続いた。

だが、続く2014-15シーズン、この年に誕生した福島に加入すると、日本人エースとして1試合平均2桁得点を挙げる活躍で、チームを2年連続でプレーオフに導いた。そして今季からの三河入団という経歴。狩俣本人も「エリートばかりのチームで、自分はちょっと異例だと思います」と語る。

ただ、異例だからこその強い思いが狩俣にはある。「子供たち、これからプロバスケ選手を目指す若い選手に、エリート街道を歩んでいなくともプロでできるという自信を持ってもらいたい。そのためにも自分が三河でもっと活躍していかなければいけないです」

「もっと積極的にいければ自分の持ち味をオフェンスでもプラスできると思います。ディフェンスでも、まだできていない部分がありますし、柏木選手や橋本選手のうまさを見習っていきたいです」とさらに成長に貪欲な姿勢を見せている。

例えば福島時代の彼からすれば、もっと3ポイントシューターとして活躍できる素養は十分にある。『叩き上げの星』として、狩俣がコートでより輝きを増す時、三河の強さはより盤石のものとなる。

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