イディー「何か賞のためにプレーすることはない。自分のプレーをするだけだよ」
グリズリーズが、今年のドラフト全体9位でパデュー大のセンター、ザック・イディーを選択したのはドラフトを代表するサプライズだった。
イディーは224cmのサイズを生かしてゴール下を制圧し、大学4年の昨シーズンは平均25.2得点、12.2リバウンドを記録。同大をNCAAトーナメント決勝へと導くと、2年連続で大学最優秀選手に選出された。イディーがNCAAの歴史に残るビッグマンであったことは間違いないが、大学とは段違いのスピード、機動力が求められるNBAでは通用しないという見方が大半であり、多くのメディアはイディーが指名されるとしたら2巡中位以降と見ていた。
だが、イディーはドラフトコンバインで、周囲を驚かせるフットワークや走力を見せる。その上で、期待されていたゴール下での力強さ、巧みなスキルも発揮し一気に評価を高めたが、それでもトップ10以内でグリズリーズに指名されたのは大きな驚きだ。なぜならグリズリーズは、ジャ・モラントを中心にアップテンポな展開を重視するチームだからだ。
だが、メディア・デーでグリズリーズのテイラー・ジェンキンスヘッドコーチは、イディーは高速スタイルに適応できる力を持っていると話した。「彼がアウトサイドに出て3ポイントシュートを打ち、ペリメーターの守備もこなせる、より多彩な選手に育つようにチャレンジするつもりだ。彼にはそれが可能だと思う。ただ、フィジカル、スピード、そしてNBAのスタイルや試合の戦術に適応するのには時間がかかる」
モラントも、「彼が新人王を受賞するだろうね。そうなっても僕は驚かない」と信頼を寄せる。こうモラントが言い切るのは、今夏自身が実施するワークアウトでイディーと一緒に過ごした経験があるからだろう。
「大学で彼の支配的なプレーを見ているし、ワークアウトで彼は(NBAで活躍する)準備ができているとことを示している。これはブートキャンプのようなきついものだけど、彼は自分から参加したいと言って加わった。1週間やり切ったことは彼にとって大きなことだったと思うよ」
イディー本人は、「何か賞のためにプレーすることはない。シーズンがどのように進んでも、自分のプレーをするだけだよ。何も狙っていないと言ったら嘘になるけど、それは自分の目標ではない」と語り、NBAに適応するために次のことを意識していると話した。
「パデューで僕は主にローポストでプレーし、ボールをつないでいく役割だった。ただ、NBAでは、もう少しペリメーターでプレーする方法、スペースの取り方やカットの仕方などを理解しないといけない」
ジェンキンスヘッドコーチのように彼が、ペリメーターでもプレーできる選手になると予想する人は現状少ないだろう。しかし、すでに彼はドラフト指名で周囲の予想を良い意味で大きく裏切る結果を残した。再びサプライズを起こすことも十分にあり得るはずだ。