「私の哲学はレギュラーシーズンで見てもらえる」
今オフのキャバリアーズは重要な契約をいくつもまとめた。ドノバン・ミッチェル、エバン・モーブリー、ジャレット・アレンとの契約延長に成功し、昨シーズンから5年契約が始まったダリアス・ガーランドを含む主力4選手が少なくともあと4シーズンは一緒にプレーする。
こうしてロスターに継続性を持たせた一方で、J.B.ビッカースタッフを解任して新たなヘッドコーチにケニー・アトキンソンを迎えた。これは若手の多いチームの将来性を評価しつつも、勝つためにはより戦術的になる必要があると考えての決断だ。シーズン最初の会見に応じたアトキンソンは「私がここにいる理由の一つは、プレーオフで勝つことだ」と語った。
若くて可能性を秘めたチームが真の強豪へとステップアップするには何が必要か。アトキンソンは「まずは健康だ」と当然のことを話した。「その上で、計画が必要となる。プレーオフではアジャストが極めて大切であり、それは1年を通じて準備するものだ」
「プレーオフで突然何かに挑戦してはいけない。1番から5番までのスイッチ、2-3のゾーン、何をやるにしてもシーズンを通して取り組んだものをプレーオフで出す。そういう取り組みをやっていく」
すでに中心選手が固定されたロスターにもアトキンソンは満足しており、「継続性はコーチの夢だ。しかも若い」と言う。「内部を改善することで、さらに上を目指したい。この数週間で選手一人ひとりとミーティングをしてきた。今はみんな同じ考えを持っていると思う。どんな手順も飛ばすことなく、粛々と進めていくよ」
そしてアトキンソンは「私は10人の選手をプレーさせるつもりだ。いや、11人かもしれない。このチームはそれだけ層が厚く、その長所を最大限に活用したい」と話す。これもまたプレーオフに向けた準備だ。主力選手のケガや不調など思わぬアクシデントはほぼ確実と言っていいほど発生する。その時の備えをどれだけ用意できるかがアトキンソンに言わせれば『計画』なのだ。
「私の哲学はレギュラーシーズンで見てもらえる。多くの選手を起用する中で、主力選手の起用法はより戦略的になるだろう。それはちょっとした変化かもしれないが、そこには間違いなくコーチの哲学が表れる」
「ここで細かく説明することはできないが」と前置きしつつも、彼は様々なアイデアの欠片を話した。ガーランドがピック&ロールでのプレーメークを減らし、リッキー・ルビオと組んでいた時に多用していたオフボールスクリーンからの3ポイントシュートを増やす、ミッチェルに周囲が良いチャンスを作ることで彼の強引なアタックを減らす、モーブリーがプレーメークにより関与して3ポイントシュートのチャンスを作り出すこと……。
「そのすべてが簡単ではない。そこにはコーチングと戦略が必要だ」。そう語る彼には、選手たちにそれを提供する準備がある。
「こうしてトレーニングキャンプを始められるのは素晴らしいね」と彼は言った。再建中のネッツを見事に立て直しはしたが、フロントがそのチームを解体してスター選手路線へと走り、その結果として解任されてから4年半を経ての新たな挑戦は、さぞかしワクワクするものに違いない。