SKナイツ戦で3ポイント5本成功を含む19得点
千葉ジェッツは9月16日、韓国KBLのソウルSKナイツとプレシーズンゲームを行い、95-82で勝利した。41得点を挙げたベンチメンバーの爆発が大きな勝因となったが、中でもインパクトを残したのが金近廉だ。
金近は18分16秒の出場で、3ポイントシュート10本中5本成功を含む19得点と、4リバウンド3アシストを記録。思い切りの良い長距離砲で、千葉Jのオフェンスに勢いをもらたしていた。ららアリーナでの初の実戦となった、前日のサンロッカーズ渋谷戦で消化不良に終わったうっぷんを晴らすプレーについて金近はこう振り返る。
「今日はファウルを前半重ねてしまったところ以外は良かったかなと思っています。昨日は自分らしいプレーができず、オフェンスに関してはすごく後悔した部分が多かったです。今日は出だしから、相手のチェックが多少あっても打ち切ろうと思っていました。その中でうまく何本か入って流れに乗れました」
今夏、千葉Jには昨シーズンまでNBAでプレーしていた渡邊雄太が加入した。リーグ1のスターフォワードとしてのコート内での活躍はもちろんのこと、世界最高峰のNBAに6シーズンに渡って在籍した彼の傑出したプロ意識、リーダーシップなど、コート外においてもチームに大きな影響を与えている。渡邊がチームに合流してからまだ1ヵ月も経過していないが、金近はすでに大きな刺激を受けていると話す。
「試合に出たらあれだけの活躍をしますし、やっぱり見ていてすごいなと同じチームにいても思います。日頃のトレーニングなどでも誰よりも努力していて、まだまだうまくなろうとしていることを一緒のチームになってより感じます。僕はそれ以上やらないといけないと思います」
渡邊は金近について「これからの選手だと思います」と話し、この試合での活躍を次のように讃えた。「昨日コーチに『アグレッシブさが足りていない』と指摘されての今日の活躍でした。試合の中でどんどん成長していける部分が多いと思います。今日も3ポイントシュートを10本打っていることがそもそも素晴らしいです。彼が(3ポイントシュートを打つことで)スペースを広げてくれると、中の選手もプレーしやすいです」
「波をなくしていかないとコーチも使いづらい」
渡邊が言及したように、今シーズンの金近はトレヴァー・グリーソン新ヘッドコーチから、長距離砲を積極的に打つことを何よりも求められている。金近は指揮官とのやりとりを明かす。
「ヘッドコーチからは『シュートが1番の役割だし、シュートを打たないのであれば試合に出る意味がない』と言ってもらっています。より自分の役割を明確に示してくれたので、 割り切って、しっかり集中してプレーできています」
金近はさらに続ける。「自分の役割を毎試合、変わらず続けること。スタッツに残らない部分のディフェンス、ルーズボールなどでどれだけハッスルできるかもヘッドコーチはすごく評価してくれています。泥臭くプレーしていくことをベースにして、3ポイントシュートなど得意なことを表現できればと思っています」
東海大2年時の2023年2月、金近はワールドカップ2023アジア予選で日本代表デビューを果たすと、同年4月には東海大を退学し練習生として千葉Jに加入。プロデビューを果たした昨シーズンのレギュラーシーズンは、57試合出場で平均16分17秒出場、6.2得点、1.6リバウンド、3ポイントシュート成功率34.8%を記録したが、チャンピオンシップ(CS)では6試合で平均7分30秒出場、1.8得点と出番を大きく減らすなど、主力の一員になりきれなかった。
この悔しさを晴らすため、金近は安定感の向上を至上命題に掲げて2年目のシーズンに臨む。「昨シーズンは全体的には成長できたと思いますが、良い時、悪い時の違いがはっきり出てしまいました。長いシーズンを戦っていく中、できるだけ波をなくしていかないとコーチも使いづらいと思います。そこを昨シーズンの課題として改善したいです」
また、現在の体重は98kgと、昨シーズンの登録体重より10kg増とたくましさを増した身体を生かし、「原(修太)さんのように、スイッチで相手のビッグマンについた時、ヘルプに頼らずに1対1で守れるようになりたいと考えています」と、ガードからビッグマンまでディフェンスで対応できることを目指す。
昨シーズンからの主力が健在かつ、渡邊の加入によって千葉JはBリーグ1のタレント集団となった。だが、60試合と長丁場のレギュラーシーズンを、ベストメンバーで戦い抜けることは稀だ。昨シーズン逃したCSホーム開催を勝ち取るには、ベンチメンバーの底上げが欠かせない。その中でも金近のステップアップこそが一番のカギとなってくる。