岡田侑大

文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

岡田侑大が強烈なドライブで富山を苦しめる

ワイルドカードでのチャンピオンシップ進出を争う富山グラウジーズとシーホース三河。3月30日の第1戦では三河のオフェンスが爆発。エース金丸晃輔の20得点に加え、ケガから復帰2戦目の桜木ジェイアールが貫禄のゲームコントロールを見せ、森川正明がキャリアハイの21得点と、オフェンス好調の三河が96-77で押し勝っている。

迎えた第2戦も、三河のオフェンスが爆発した。第1クォーターから岡田侑大が8得点、熊谷航が7得点と、ガード陣がインサイドを切り崩して得点を重ねる。第2クォーターにはベンチから出場した桜木ジェイアールが、しぶといディフェンスに定評のある山田大治をアイソレーションで破ってリードを作った。富山の奇策、ジョシュア・スミスとレオ・ライオンズの両外国籍選手と210cmの青野文彦を同時起用するビッグラインナップにも落ち着いて対応。確実にチャンスを作り出して得点を重ねる。富山もジョシュアとレオのシュートタッチが良く、この2人にボールを集めて反撃を試みるが、攻めのバリエーションが豊富な三河を上回ることができない。

第3クォーターに入って富山がレオの得点量産で追い上げムードを作るが、岡田が強引なドライブで仕掛け、ジョシュアのコンタクトを受けながらもゴール下を決めきるバスケット・カウントで突き放す。これでジョシュアは開始早々にもかかわらず個人ファウル4つ目。ハイピックを使ってペイントエリアへガンガン仕掛ける岡田に代表される三河の攻めに受け身となってしまった富山は、ジョシュアに限らずファウルがかさんだ。

船生誠也が岡田のドライブを止めて反撃に転じ、コースト・トゥ・コーストを決めるビッグプレーを見せるも、三河は熊谷がすぐさま宇都直輝をブチ抜く高速ドライブでレイアップを沈めて、富山に付け入る隙を与えない。

第4クォーターが始まって1分20秒、桜木がドライブでジョシュアを狙い打ちにして、個人5つ目のファウルを誘発。富山にとってゴール下の大黒柱であるジョシュアのファウルアウトは致命的な痛手。山田がその穴を埋めようと奮闘するも、桜木の老獪なゲームメークの前に2桁前後のビハインドを背負い続けて、そのまま83-97で試合終了となった。

金丸晃輔

金丸は31得点、攻めのバリエーションが大きな武器に

ワイルドカードの1枠はアルバルク東京で当確。残る1枠は、三河と富山、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、サンロッカーズ渋谷が争う。三河は富山にアウェーで連勝したことで、富山、名古屋Dと27勝25敗で並んだ。若い岡田と熊谷が先発を任せるに足る戦力となり、金丸はエースの働きを安定して披露している。また桜木ジェイアールがまだ本調子ではないとはいえ、戦線復帰からチームを3連勝に導いており、山あり谷ありのシーズンではあるが終盤戦になって『整ってきた』感がある。

富山は様々な策を繰り出してきたが、多士済々の戦力をうまく活用することで、どの局面でも上回っての完勝劇。チャンピオンシップを争う富山との直接対決で連勝できたことは、4月のラスト8試合に向けた大きな弾みになる。

一方の富山はホームで痛恨の連敗。ここからは新潟アルビレックスBB、川崎ブレイブサンダースを相手に10日間で4試合で戦うが、ここでいくつか勝ちを拾わなければ初のチャンピオンシップ進出は相当厳しいと言わざるを得ない。ジョシュアとレオの外国籍選手コンビは強力だが、帰化選手が不在であることが重い現実としてのしかかっている。今日は結果を残せなかった山田大治が繋ぎの役割でどれだけ質の高いプレーを見せられるかは一つのポイント。正念場を迎えた今、富山はもう一伸びステップアップできるだろうか。