ヒートやサンズでプレーオフでの勝負強さを示す
2022-23シーズンのキングスは48勝34敗で西カンファレンス3位に躍進し、16年ぶりにプレーオフに進出。ファーストラウンドでウォリアーズに敗れたものの、飛躍の1年となった。ただ、若いチームが右肩上がりに成長を続けるかと言えば、そう簡単ではないのがNBAだ。競争の激しい西カンファレンスは特にそうで、昨シーズンは勝ち星を2つ減らしただけで順位を9位まで落とし、2年連続のプレーオフ進出は果たせなかった。
ドマンタス・サボニスが28歳、ディアロン・フォックスとマリーク・モンク、ケビン・ハーターが26歳、キーガン・マレーは24歳とチームは若く、成長の余地をまだまだ残す反面、ここぞの場面で勝ちきるための経験を欠いている。今オフにはそれを補うため、チームリーダーのハリソン・バーンズと引き換えにデマー・デローザンを獲得。チームを再び上昇気流に乗せようとしている。
ただ、キングスの補強はまだ終わってはいない。ロスター枠はまだ4つ空いており、サラリーキャップのファーストエプロンまでには490万ドルの余裕がある。ビッグネームとは言わなくとも経験あるベテランにその枠を使うことができる。
これまでアイザイア・トーマス、ロニー・ウォーカー四世、トニー・ブラッドリー、ホワン・トスカーノ・アンダーソンといった選手たちを練習施設に招いてチェックしてきたが、契約には至っていない。そして今、ジェイ・クラウダーがキングスの選手たちとワークアウトをしている。
クラウダーは35歳、キャリア12シーズンで8つのクラブを渡り歩いてきたジャーニーマンで、チームを転々としながらも11シーズン連続でプレーオフの試合に出場している。キャリアハイの14.2得点を記録したのはセルティックスでの2015-16シーズンだが、彼の価値が最も認められたのはヒートやサンズでプレーオフでの勝負強さを示した2020年以降だ。
レブロン・ジェームズを始めとする相手のエースとマッチアップしてタフなディフェンスができ、キャリア通算3ポイントシュート成功率34.8%は『そこそこ』の数字だが、勝負どころのワイドオープンを決めきる精神力の強さがあり、決まるかどうかは別として相手ディフェンスが無視できない存在感を持っているため、数字以上の存在感がある。
バックスでプレーした直近の2シーズンはケガ続きで期待外れの出来に終わっているが、キングスのフォワードにはデローザンとマレーがいて、クラウダーに長いプレータイムは求めていない。キングスのスタイルにフィットし、その勝負強さを発揮できるのであれば、チームにとって貴重な戦力となりそうだ。