文・写真=鈴木栄一

勝負どころの第4クォーターにビッグプレー連発!

3月11日、千葉ジェッツはホームで滋賀レイクスターズと対戦。リーグ下位に沈んでいる相手に終盤までもつれる展開となったが、最後に地力の違いを見せ83-74で勝利を収めている。

第1クォーターはタフショットを何本か決めた滋賀に主導権を握られ21-27とリードを許す。しかし、第2クォーターに冨樫勇樹のブーザービーターで同点に追い付くと、その後も滋賀の粘りに苦しられたが、勝負どころでしっかり突き放した。

「2週間ぶりの試合ということもあってか、出だしはソフトになってしまいましたが、第2、第3クォーターと徐々にアジャストしてくれました。そして第4クォーターは良いオフェンスで締めくくることができて勝ち切れました」。このように試合を振り返る大野篤史ヘッドコーチだが、第4クォーターの良いオフェンスを生み出したのはタイラー・ストーンの爆発が一番の要因だった。

本日、計28得点を挙げたストーンだが、その内訳を見ると3ポイントシュート13本中5本成功を含む計25本中10本成功と、シュート確率自体は良くなかった。しかし、これが第4クォーターに限れば3ポイント3本中2本成功を含む計8本中5本のシュート成功で計15得点。「その前に冨樫がハイピックから崩してくれたのも大きかったですが、タイラーがゲームクローザーになってくれました」と大野ヘッドコーチも称える活躍だった。

ファウルトラブルも指揮官の『声』で冷静さを取り戻す

ただ、この大暴れの前、ストーンは第4クォーター早々にファウルを連続して吹かれてファウル4つとなり、残り約7分半で一旦ベンチに下がる。この時の彼は、苛立っているように見えた。しかし、「自分もテクニカルファウルをもらわないように我慢するからタイラーにも我慢してくれといいました」(大野ヘッドコーチ)と指揮官の声だけが、彼に冷静さを取り戻させた。

「コーチが冷静になり、我慢してくれと言い続けてくれたことが、自分の落ち着きにもつながってくれたので助かりました」とストーンは言う。

そして残り約5分に再びコートに戻ると、『ストーン劇場』が幕を開ける。残り約4分からバスケット・カウント、3ポイントシュート、再びバスケット・カウントとビッグプレーを連発。また残り1分46秒、滋賀の3ポイントシュートで2点差に詰められた場面で、ゴール下でノーマークになっている石井へのナイスアシスト。さらに残り1分、6点リードの場面で、石井の勝利を決定付ける3ポイントシュートもストーンのパスによるものと、自ら得点を取るだけでなく、アシスト役としても光った。

「勝つことに集中したのが素晴らしいプレーにつながった。(第4クォーター、再びコートに戻って来た時)集中力をもう一度高め、コート上で勝つために自分ができることをしたのが良い結果となりました。ファウルを吹かれるのは自分でコントロールできない部分もあります。ただ、同じことを繰り返さないよう次のプレーに集中して、最後は審判の笛にアジャストできたことは大きいと思います」

締めの『バンザイコール』は船橋アリーナの名物に

第4クォーターでの爆発についてこのように述べるストーンは、石井へのナイスアシストが続いたことを聞くと、彼との相性の良さを強調する。「講祐が決めてくれてよかったです。理由は分からないけど、練習から彼が空いているのを見つけてパスを出すことが多い。彼は素晴らしいシューターなので、今日のようなプレーをこれからも続け、彼のシュートチャンスにも貢献していきたい」

また、ストーン劇場は試合後も続いた。試合後、本日のMVPとしてマスコットのジャンボくんのぬいぐるみをもらったストーンだが、前回のMVP時にもらった同じぬいぐるみに選手全員のサインをしたものをファンにプレゼントするとコメント。5000人を超えるファンが詰めかけた会場がどっと沸く中で、最前列にきた赤ん坊にこのお宝グッズを渡していた。

そして最後は、恒例の『バンザイコール』で締め。まさにストーンの様々な魅力が存分に披露されたゲームとなった。富樫、石井、小野龍猛など、多彩な攻撃オプションを持っている千葉であるが、1対1のオフェンス能力ではリーグ随一の破壊力を持っているストーンが今日のようなプレーを続けていければ、その強さはより盤石のものとなってくるはずだ。