アイザイア・トーマス

写真=Getty Images

2017年のファイナルで使うはずだったシューズを履く

3月18日、久々にTDガーデンのコートに立ったアイザイア・トーマスを待っていたのは、ボストンのファン、そしてセルティックスによる溢れんばかりの愛だった。

ナゲッツの選手として慣れ親しんだ会場に帰ってきたトーマスの貢献を称え、セルティックスは彼が在籍時のパフォーマンスを1本の動画に編集し、第1クォーター序盤に会場内の大型ビジョンで流した。セルティックスの選手も、会場のファンも総立ちでトーマスを称え、大きな拍手と声援を送った。トーマスは目を潤ませ、何度も頷いて感謝の気持ちを表した。

試合後トーマスは「感傷的になってしまって、泣きそうだった。特別な試合だった。今日のような演出をしてもらえて感謝している。本当にうれしい」と語った。

トーマスはこの日、グリーンとゴールドのスニーカーを着用してプレーした。この試合のために用意したものと思われたが、このシューズにも特別な意味が込められていた。このシューズは、トーマスにとってセルティックスでの最後のシーズンとなった2017年に作ったもので、NBAファイナルに進出したら履くつもりだったという。

「不思議なものだけれど、グリーンとゴールドのスニーカーは、このチームでの最後のシーズンに、ファイナル用に作っていたものだったんだ。それをキープしていたのさ。ほかのスニーカーもあるけれど、今日の一足はNBAファイナル用に作ったんだ」

2014-15シーズン途中から2016-17シーズンまで所属したセルティックスは、トーマスにとっても特別な存在だ。最近はナゲッツの方針によりローテーションから外れていたトーマスだったが、この日はベンチから7分出場し、2アシストを記録。114-105で勝利したナゲッツは、6年ぶりのプレーオフ進出を決めた。試合終了後にコートで受けたインタビューで、トーマスは「トリビュート動画、自分に対する反応、そのどれもが信じられないくらい素晴らしい。僕と彼らとの間にある感情は、片一方のものではなくて、お互いに感じているもの。僕はこの街が大好きだし、球団のことも愛している。ただ、今日はウチが勝てて良かった」と、笑顔で締めた。

今シーズン終了後にフリーエージェントになるトーマスは、チャンスがあればセルティックスへの復帰を希望していることを示唆したばかりだ。ただ、たとえ復帰が実現しなかったとしても、ボストンとトーマスの相思相愛の関係は、これからも続く。