昨季NBAでプレーできなかった元ドラフト1巡選手、崖っぷちで爪痕を残す
現地22日、NBAサマーリーグのファイナルが行われ、ヒートがオーバータイムまでもつれる激闘の末にグリズリーズを120-118で下し、優勝した。この試合のMVPには、24得点4リバウンド3スティール2ブロックと攻守で躍動したジョシュ・クリストファーが選出された。クリストファーはサマーリーグ全体を通しても、6試合で平均19.3得点、3.0リバウンド、3ポイントシュート成功率52.5%と活躍し、確かな爪痕を残すことに成功した。
22歳とまだ若手のクリストファーだが、今回のサマーリーグはキャリアにおいて背水の陣と呼べる舞台だった。
アリゾナ州立大で1年プレーし、2021年ドラフト全体24位でロケッツに入団したクリストファーは、プロ入りまでは順風満帆なエリート街道を歩んでいた。ロケッツ1年目も再建モードのチームでチャンスを与えられ、74試合出場で平均7.9得点、2.5リバウンドとまずまずのスタッツを挙げたが、2年目は64試合出場で平均5.8得点、1.1リバウンドと数字を落とし、首脳陣の期待に応えることができなかった。
在籍3年目を迎える直前の2023年7月に、5チームがからむ大型トレードでグリズリーズに移籍したものの、開幕直前に放出され、10月にジャズと2ウェイ契約を締結。しかしGリーグでしかプレーできず2024年1月に再び放出され、昨シーズンは1試合もNBAのコートに立てなかった。
NBAで生き残るために、クリストファーはこのサマーリーグで何としても結果を残す必要があった。そして崖っぷちで本領を発揮した。
「僕たちがサマーリーグでベストチームになれたのは、ここにいる選手たちみんなのおかげだ。選手個々が協力しないことには成功はつかめない。ありがたいことに、僕たちの何人かはすでに一緒にプレーしていて、あとはパズルのピースをはめ込むだけだった」
このように優勝の要因を語るクリストファーは、「強い気持ちを持ち続けていた。望むものすべてを手に入れることはできない。ただ、自分の旅がどんなものかを理解し、状況を受け入れられていた」と語り、特にヒートが作り上げてきたカルチャーが自身の活躍の助けになったと続ける。
「言葉で表現することはできない。ただ、(ヒートの元フランチャイズプレーヤーである)UD(ユドニス・ハズレム)のメッセージからヒートカルチャーを理解できた。このカルチャーが、僕のベストを引き出してくれたと思う」
サマーリーグ終了時点で、クリストファーはどのNBAチームとも契約を結べていない。しかし、今回の活躍で少なくともトレーニングキャンプに参加するチャンスはつかめたと言えるだろう。「自身に合っている」と語るヒートでNBA復帰を果たせれば、なおのこと最高だ。