「悩んだときに『自分がそばにいるよ』と思ってもらえたら」
——小川選手は今オフより、社会貢献活動プロジェクト『with A』をスタートさせました。どのような経緯があったのでしょうか。
バスケを始めた小学2年生から、本当に毎日のようにバスケをやっていました。家族と過ごす時間は正直あまりなかったけど、それでも親が支えてくれたから自分はバスケをやれていたと思うし、今こうしてプロ選手としていられているのかなとも思います。子どもたちと触れ合うような活動をして、周囲への感謝を持つことや、悩んだ時に「自分がそばにいるよ」と思ってもらえたらなと思い、このような活動を始めました。
——6月中旬に第一弾として、ひとり親家庭の子どもを対象としたクリニックを行ったそうですね。
はい。僕自身も片親家庭で育って、同じ境遇の子どもたちの気持ちはわかるところがあるので。なんていうんでしょう、お父さん代わりじゃないですけど、そういった気持ちをもって触れ合わせていただきました。子どもたちの楽しそうな姿を見られて本当に良かったし、僕自身も子どもが好きなのですごく元気をもらいました。今後何をするかはまだ決まっていないんですが、試合に招待したり、保護者と自分とみんなで料理を作ったり、いろんなことをやっていきたいです。
——中高生を対象としたクリニック『ENJOY LIFE PROJECT』では、全国9カ所をまわってのべ約1000人の子どもたちと触れ合いました。
プロ選手が子どもたちと触れ合える機会はあまりないですし、自分がプロ選手になって学んだことを小さいうちに知ってもらいたいと思い、実施しました。今回は西日本を中心に行わせていただきましたが、子どもたちは本当にうれしそうでしたね。やっぱり自分たちプロ選手はたくさんの夢や希望を与えられる存在なんだなって、あらためて強く感じましたし、子どもたちにとってお手本になれる選手にならないといけないと思わされました。
——参加した選手たちにはどのような声をかけられましたか?
「周りの仲間を鼓舞するためにディフェンスで声を出そう」とか、「バスケットボールは切り替えが大切なスポーツだから、休憩後はすぐに切り替えて練習に取り組もう」とか。子どもたちにアドバイスをしているつもりで、実は自分に言い聞かせているようなこともたくさんありましたね。自分も基本から見直していかなきゃいけないと再確認した、大切な時間になりました。
——クリニック名の「エンジョイライフ」になぞらえて、子どもたちにはどのように人生を楽しんでもらいたいですか?
自分は「プロ選手になりたい」という夢に向けて、小学生の頃から本当に厳しい指導を受けてきました。「バスケをやめたい」「バスケがなかったら……」と思ったことも正直ありますが、夢に向かってチャレンジして、いろんなことを達成していくことも間違いなく楽しかったです。厳しいことや苦しいことがあっても、バスケとともに乗り越えてほしいなと思いますね。
——『with A』や『ENJOY LIFE PROJECT』を通じて出会った人たちへ、伝えたいことはありますか?
みなさんに少しでも希望や夢を与えられるような選手になっていきたいと思います。来シーズンも自分の役割をしっかり果たして、チームを勝たせられる選手に少しでも近づけるように頑張っていきたいです。これからもっともっとBリーグを盛り上げていけるように頑張ります!
苛烈さを増す競争「大切なのは粘り強く、細かくやっていくこと」
——新たなシーズンが間もなく始まります。渡邊雄太選手や田代直希選手、菅野ブルース選手ら多くの新戦力が加わり、頼もしさもある反面、危機感もあるのではないかと思います。
本当に層が厚いので、昨シーズン以上にうまくいかない時や、プレータイムを得るのが難しい時が来るかもしれません。プロの世界なので、個人としても覚悟はしています。大切なのはそこから粘り強く、ディフェンスなど細かいことをやってくことだと思っています。メンバー的にも自分が2番ポジションで出る機会は少なくなると思うし、新しいコーチから信頼をしっかり勝ち取って、勇樹さんと(西村)文男さんを越すくらいの気持ちを持って、ポイントガードとしてしっかりと成長できるようなシーズンにしていきたいです。そして多くの人から「ジェッツ、強いな」って言われるようなチームを作っていきたいです。
——新本拠地となる『ららアリーナ東京ベイ』でプレーするのは楽しみですか?
いやもう、あんなすごいアリーナでできるなんて!天皇杯やチャンピオンシップのファイナルのようなアリーナをホームコートにできるのは本当にうれしいですし、毎試合楽しみです。しっかりとレギュラーシーズン1位を取って、チャンピオンシップもホームゲームで戦いたいですね。
——それでは最後に、千葉Jのブースターに意気込みを聞かせて下さい。
いつも本当に熱い応援をありがとうございます。昨シーズンはなかなか勝てない時期もありましたが、ブースターの皆さんの応援が本当に力になって、天皇杯とEASLの二冠を獲り、チャンピオンシップにも出場できたと思っています。チャンピオンシップは悔しい結果にはなりましたが、本当に成長できるシーズンを過ごせました。ららアリーナを毎試合満員にできるよう、そしてしっかりと優勝できるように頑張っていきますので、引き続き熱いご声援をよろしくお願いします。
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