「『去年出られたから今年も』ではないとよくわかりました」
日本体育大3年在学中の2022年12月に千葉ジェッツとプロ契約を締結し、昨シーズンより本格的なプロキャリアを歩み出した小川麻斗。昨シーズンの千葉Jは、レギュラーシーズンの合間に天皇杯と東アジアスーパーリーグ(EASL)が挟み込まれる超過密日程の影響で、チームも小川自身も苦しいことも多いシーズンだった。しかしそれらを振り返る小川の言葉からは、プロ選手の過酷さと真っすぐ向き合い、それを今後の糧とできる、大切な1シーズンであったことが垣間見えた。
——まずはルーキーシーズンとなった昨シーズンを簡単に振り返っていただけますか。
Bリーグの1シーズンは想像以上に長かったですね。良い時も悪い時もあってその中でも自分のやるべきことをしっかりとやった結果が、プレータイムに繋がったのかなと思えたシーズンでした。ただ最終的には、チャンピオンシップでなかなか試合に出られず、 チームも勝てなかったという点で悔しかったです。
シーズン途中にあまり試合に出られなくなった時期があったんですが、腐らずに自分がやるべきこと…ディフェンスだったりリングへのアタックだったり、それを遂行できたことは良かったと思います。
——確かに昨シーズンの小川選手はプレータイムやスタッツに波がある印象を受けました。ジョン・パトリック前ヘッドコーチにはどのようなことを指摘されていましたか?
怒られたりはしていないんですが、ルーキーとして全力で戦うこと、リングへアタックすること、 細かいことを徹底することなどを求められていました。ジョンさんの下でプレーするのは2シーズン目でしたが、去年出られたから今年は出られるというわけではないとよくわかりました。ロスター全員がコート上で成果を出せる選手なので、その中で調子の良い人が使われていくんだなと。プロの世界は甘くないなって感じました。
——千葉Jは今シーズン、天皇杯とEASLに出場しともに優勝しました。EASLはどのような大会でしたか?
海外のクラブと試合をする経験はなかなかないですし、Bリーグと違った戦い方を経験できる貴重な機会でした。フィジカルの強さも、ジャッジのクセみたいなモノもかなり違いを感じましたね。その中でしっかりと自分たちのバスケをやって、全勝して優勝することができたことでチームの自信に繋がりました。個人としても海外でしっかりと結果を残せたことが、天皇杯の優勝にも繋がったのかなと思います。
——天皇杯決勝の琉球ゴールデンキングス戦は、3ポイントシュート6本試投4本成功を含む14得点と大活躍でした。
プロとしてキャリアハイの数字です。前年のチャンピオンシップ(CS)で3ポイントが入らなくて落ち込む経験をしていたので、大舞台でしっかりと結果を出すことができて、よりいっそう自信になりました。
「チームを勝たせられるような選手になっていきたい」
——ワイルドカードギリギリの順位で進んだCSは、琉球に敗れセミファイナル敗退。連覇にあと一歩およびませんでした。
シーズンを通してうまくいかない時期があった中、EASLと天皇杯の2冠をしっかり取ることができて、CSではレギュラーシーズンは一度も勝てなかった宇都宮さんに勝つことができました。琉球さんには負けてしまいましたが、シーズンを通して成長できたし、なかなかないような結果を出せたんじゃないかと思います。
——成長を感じたところを挙げるとすると?
同じポジションの富樫勇樹さんという素晴らしいプレーヤーを生かしながら、自分はどううまくやっていくか、みたいなところは考えながらプレーできるようになったんじゃないかなと思います。ただ、勇樹さんを意識しないように自分がラストシュートを打ったのに、それを決め切れなかったことが何度もあって、すごく悔しい思いもしました。チームを勝たせられるような選手になっていかないといけないと切に思いました。
——そういった中でも、富樫選手の「75」を上回る76試合、つまりCSを含めてシーズン全試合に出場したのは素晴らしいことだと思います。
勇樹さんは毎試合30分以上試合に出ているので単純には比較できないですが、ケガをしない身体作りはすごく大切だと思いますし、今シーズンもそれを意識した身体作りに取り組まなきゃいけないと思っています。来シーズンは安定したプレータイムを得た上で、全試合出場を目指せるように頑張っていきたいです。
——シーズン終盤には新人王の候補にも上がっていましたが、チームメートの金近廉選手に持っていかれてしまいましたね。心境はいかがでしたか?
まあそこは、メディアとかそういう方々の評価なので仕方ないことだと思っています。かねち(金近)が取ってくれてうれしかったですよ。お互い切磋琢磨しながら頑張っているし、仲も良いので、悔しさとかは全然ないです(笑)。
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