文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

慣れないポイントガードへのコンバートに困惑

2月24日から27日の4日間、U-19男子日本代表の第5次合宿が行われた。福島ファイヤーボンズの特別指定選手であり、現役高校生の水野幹太の姿もそこにはあった。

水野は普段攻撃的な2番(シューティングガード)としてプレーしている。「福島では2番でやっていて、パスもするし、シュートやドライブに行って、どんどん攻めています」

だが代表チームでは1番(ポイントガード)にコンバートされ、慎重になりすぎてしまうことでミスが出ていると言う。「U-19では控えめになってしまい、自分で行けるところも行かずに、引いてしまったところでパスをするので、そこを狙われてしまった」

「高校でもそうですし、これからも2番をやるんですけど、ここでは1番としてボール運びをやらないといけない。2番のほうがやりやすいですし、しっくりきます。ドライブした時の対応や判断力がもっと良くなればミスは減らせると思います」と課題と解決策を分析する。

Bリーグで得た自信「やっていく自信は全然あります」

B2でプレーしている水野は、フィジカルの強さへの対応に苦労しながらも、体格差を違う方法で補おうと試行錯誤している。

「相手は大人なので、ドライブされた時にコースを読んでも『ボンっ』と吹っ飛ばされて結局打たれてしまうことが多少あります。どう耐えればいいのか、接触する前に押さえておけばぶつかった時も軽く済むのではないかと考えながらやってます」

特別指定選手として2月から福島でプレーしている水野は、ここまでB2の6試合に出場。平均17.5分間のプレータイムを得て、7.8得点を記録している。大学生でも十分なプレータイムを得ている選手がほとんどいない状況で、高校生がこれだけの数字を残していることは驚異的だ。

本人もBリーグでのプレーに自信を見せ、強気な発言を連発した。

「スピードは自分のほうが速いんじゃないかと思いますし、B2ならやっていく自信は全然あります。今までも驚くことはなかったですけど、自分から積極的にやって、フィジカルをより強くしていけばもっと得点できると思っています」

「B1になるともっとスピードが速くて、フィジカルが強くてシュート力があって、ディフェンスももっとガンガンくると思います。ですがB2だと何かしら欠けているところがあるので、工夫をしてやれば自分ならもっとできると思います」

「B1のプロ選手になって、その後は教員になりたい」

4月からは法政大学へ進むことが決まっている。2年前までは1部リーグに所属していた法政大学だが、現在は3部リーグと低迷している。「正直、1部でやりたかったです」と前置きしながらも、父と相談し最終的には自らの意思で法政大学への進学を決めた。

「高校の監督をしている父とも相談しました。高校1年生の時から誘ってもらっていたことも決め手の一つです。自分の力でチームを上げていくという、1部リーグで最初からプレーすることとは違った体験ができるのではないかと思い、法政に決めました」

将来の目標は「B1のプロ選手になること」と話す水野だが、今から引退後のセカンドキャリアを考えていることには驚かされた。

「大学で教員免許を取ってB1でやりたいです。必ず引退する日がくるので、その後は教員になりたい。教科は体育か、自分の高校の学科が情報処理なので、そういうのを教えられたらと思います」

最後に代表への抱負を、自身の現在地と合わせて力強く語ってくれた。「プレータイムを見てもヘッドコーチからの信頼がまだないと思います。ミスが多いなど足りない部分はありますが、まだチャンスはあるので、同じ高校生の重富兄弟を倒し、信頼を得て世界大会に出たいです」

水野は今まで慣れ親しんだ2番ポジションから1番にコンバートされ、戸惑いながらも代表生き残りへ前を向いている。だがプレーの幅を広げミスを減らすというシンプルかつ簡単ではない課題を克服した時、ワールドカップの舞台で日の丸を背負ってプレーする水野の姿が見られるはずだ。