ジェイレン・ブラウン

スポンサーの意向で選ばれない?「間違いなくそうだ」

カワイ・レナードはアメリカ代表のトレーニングキャンプに参加したが、最初の数日を過ごしただけで膝の状態が思わしくないためにチームを離れた。その代わりに追加招集されたのはデリック・ホワイトだ。運動量と粘り強いディフェンスでチームを支えるNBA屈指のユーティリティプレーヤーとして、スター選手の揃う『チームUSA』を補完する意味で誰もが納得の人選と言える。

しかし、幅広く支持されていても『満場一致』とはいかない。それに異議を唱えたのはジェイレン・ブラウンだ。セルティックスでジェイソン・テイタムと並ぶエースであり、ファイナルMVPに輝いたばかりの彼はサマーリーグを観戦するためラスベガスに滞在しており、そこでのメディア対応で選手選考にスポンサーであるナイキの意向が働いていると語る。「間違いなくそうだ。今後もそういうことは起こるだろうけど、今はこれ以上コメントしたくない」

なぜそんな話題が出てくるかと言えば、ブラウン自身が「代表の選手選考はナイキの意向に影響される」と以前からSNSで発信してきたからだ。

ブラウンとナイキの対立は、選手の立場を保護しようとする彼の姿勢により生まれた。かつてカイリー・アービングが反ユダヤ主義を押し出す映画をSNSで紹介した際、ナイキはすぐさま彼との契約を解除した。ブラウンは反ユダヤ主義を支持するわけではないが、個人の主義主張についての良し悪しをスポンサーが判断し、弁明も行動をあらためる余地も与えずペナルティを科した姿勢に「ノー」を突き付け、それからナイキのシューズを履いてもロゴを黒く塗って隠し、事あるごとにナイキを批判するようになった。

ブラウンではなくホワイトを選考する理由にディフェンスが挙げられるが、ブラウンはNBAファイナルでルカ・ドンチッチをマークし、ほぼ完璧に抑え込んで勝ち筋を作り出した。そしてオフェンス力ではブラウンが大きく上回る。今の代表メンバーに合わせられるプレースタイルの幅広さでホワイトが選ばれたのだろうが、それでも選考から外れたことをブラウンが「実力以外の何らかの力が働いた」と考えるのも無理はない。

ただ彼は、アメリカ代表に選出されなかったことに怒りを感じているとしても、セルティックスでともに優勝を勝ち取った仲間の選出は素直に喜んでいる。「僕が選ばれなかったことに驚きはなかったけど、むしろ僕の反応は、『ホワイトにとって良かった』との思いだ。多くの仲間が代表チームにいるのは素晴らしいことだよ」とブラウンは語り、テイタムとホワイト、ドリュー・ホリデーの『セルティックス組』を応援するつもりだ。

また、レブロン・ジェームズの息子ブロニーのサマーリーグでのプレーを目の当たりにしたブラウンが「プロのレベルじゃない」と語ったとの噂が出回ったが、彼はSNSでこれを否定。「親子でNBAでプレーできるのは誇らしいこと。ブロニーは成功するために必要なあらゆる要素を備えていて、その成長を見るのが楽しみだ」とコメントしている。