人種差別問題根絶を訴えるジャズのオーナー「対戦チームの選手は敵ではない」

2019/03/16
NBA&海外
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ゲイル・ミラー

写真=Getty Images

新たに永久追放となったファンも

3月11日、ソルトレイクシティのヴィヴィントスマート・ホームアリーナで行われたサンダーvsジャズの一戦で、あるジャズファンがサンダーのラッセル・ウェストブルックに差別的発言をしたとして、ジャズはこの男性ファンに、ホームアリーナで今後開催されるいかなるイベントにも参加を認めない永久追放処分を科した。

物議を醸した今回の騒動後、ジャズオーナーのゲイル・ミラーは、14日にホームで行われたティンバーウルブズ戦前にコートに立ち、ファンに対して人種差別行動の根絶を訴えるため、次の声明文を読み上げた。

「私は、我々のファンの一人が、この会場にゲストとしてやって来た選手の感情を逆撫でする行動を取ったことを、心から残念に思います。今回の件は、選手だけではなく、私個人、私の家族、球団、コミュニティ、チームの選手、そしてNBAでベストのファンであるみなさんの気分を害する行為です」

「このような行為は、決して起こるべきではないのです。我々は、人種差別主義者のコミュニテイではありません。私たちは、礼儀と尊敬の気持ちを持って人に接すべきと考えます。これからも、一部のファンが相手チームの選手に対して愚かな態度を取り、マナーを忘れ、尊敬を欠く行為をするかもしれない。そんな時、ファンのみなさんには、立ち上がり、『止めるんだ』と叫んでいただきたい。この会場には行動規範があります。それは、厳格に施行されるものなのです」

「対戦相手は私たちの敵ではありません。彼らは競争相手なのです。競争とは素晴らしいことです。選手たちが各々の才能を披露することで、ファンは彼らの力に勇気付けられ、感謝し、声援を送り、選手たちとともに試合を楽しむことができます」

「私からみなさんへ心からお願いしたいことがあります。これから先、周りにいる人たちも含め、私たちは品行方正でいることを誇りに思いましょう」

心に響くメッセージに、ジャズとウルブズの選手、会場内のファンは、大きな拍手でオーナーからのリクエストに応えた。ジャズは、今回の件をきっかけに、人種差別問題に対し断固たる態度で臨むことを決めた。そして、新たに1人のファンに永久追放処分を科したと伝えられた。

『Deseret News』によれば、2018年4月23日同会場で行われたサンダーとのプレーオフ・ファーストラウンド第4戦の試合前に、ある男性ファンがラッセル・ウェストブルックを黒人男性の蔑称でもある『Boy』と呼び続けた動画がソーシャルメディア上にリークされた。動画では、ウェストブルックが男性ファンに「止めろ」と繰り返し警告した後、会場スタッフを呼び寄せて事情を説明したところまで収められている。ジャズは、この行動を問題視し、動画から男性ファンを特定して処分を科したという。

今回の件をきっかけに、NBAはいっそう差別に対する問題意識を強く持つようになるだろう。「対戦チームの選手は敵ではない」というオーナーの言葉が、心に深く響く。