ジョエル・エンビード&ポール・ジョージ

エンビード、ジョージ、マクシーの『ビッグ3』が完成

1年前のオフ、ジェームズ・ハーデンの移籍騒動に揺れていたセブンティシクサーズは、タイリース・マクシーとの契約延長の先送りも含め、ジョエル・エンビード以外の契約が今オフに切れる形にしました。それはキャップスペースに大きな余裕を作り、フリーエージェントでスター選手を連れて来るという賭けでした。

そして今オフ、最大の注目株だったポール・ジョージには様々な噂が上がりましたが、最終的にはシクサーズが提示した4年2億1200万ドル(約320億円)の契約にサイン。シクサーズは1年かけて仕込んだ賭けに勝ちました。この間にオールスターへと成長したマクシーとも再契約し、新たな『ビッグ3』をコアメンバーとしたチーム作りを進めることとなります。

またスターター候補としてケイレブ・マーティンと4年契約しハードワークとディフェンス力を加え、控えにはベテランのアンドレ・ドラモンドとエリック・ゴードンを獲得、ドラフトでは得点力に優れたガードのジャレッド・マケインを指名しました。ケリー・ウーブレイJr.やKJ・マーティン、カイル・ラウリーとは再契約し、各ポジションに若手とベテランがバランス良く混じったロスターを構築しました。

契約下の選手をここまで減らすと、キャップスペースに空きは生まれますが欲しい選手をトレードで獲得する可能性を失っており、チームの弱点を埋めるのはそう簡単ではありませんでした。それでもジョージ獲得だけでなく、チームに足りなかったハードワーカーを増やすことにも成功しています。欲を言えばケンテイビアス・コールドウェル・ポープのようなエースキラータイプのディフェンダーが欲しかったところではありますが、フリーエージェント市場で十分に戦えるロスターを作り上げたことは評価できます。

こうしてシクサーズの賭けは当たり、強力なロスターを構築できましたが、問題はプレーオフで勝てるかどうか。エンビードがコートの真ん中のスペースを使うため、ボールムーブが止まりがちになり、ウイング陣が得点を奪いにくいことがシクサーズが抱える懸念点ですが、1on1からのジャンプシュートで得点を奪えるポール・ジョージがこれを解決してくれる可能性は十分にあります。ケイレブとともにウイングディフェンスの強化も期待できるため、対セルティックスという見方でも昨シーズンより大幅に戦いやすくなりそうです。

コートの内外で問題を抱えることが多いシクサーズは、毎シーズンのようにコアメンバーを入れ替え、チーム力が高まらないことも悩みの種です。短期間で評価を下すことなく、エンビード、ジョージ、マクシーの『ビッグ3』で勝てる方法を確立していかなければいけません。あとはこのプランを信じ、腰を据えて戦い続けられるかがシクサーズの成功の鍵となりそうです。