デジャンテ・マレー

入団会見に姿を見せたザイオンに「ほぼ愛だね」

デジャンテ・マレーのホークスでの挑戦は2年で終わった。1巡目指名権2つと4選手とのトレードでペリカンズへの移籍が決まり、キャリアの大事な2年間を何も勝ち取れないまま過ごすことになったが、ペリカンズでの入団会見に臨む時点で、彼の意識はすっかり新しいものになっていた。

「移籍について語れることは多くない。僕のビジネスにおける立ち位置は選手であり、移籍や契約についてはエージェントに任せっぱなしだった。そして今、新たな本拠地ニューオリンズにやって来たことにワクワクしている」とマレーは言う。

「僕がNBAでプレーするようになってベテラン勢から教わったのは、人間関係が一番大切だということ。試合には勝つことも負けることもあるけど、最も重視すべきは人と人との繋がりだ。そういう意味で、ペリカンズには昔から関心を持っていた。ペリカンズでは選手たちがみな兄弟のような関係にあり、愛し合っている。僕は一生懸命に仕事に取り組み、信頼を重んじる環境で働きたい。それがここペリカンズなんだ。今日ここに来てくれたみんなに感謝している」

その一人がザイオン・ウイリアムソンだ。オフには自分のスタッフとワークアウトをするためクラブ施設にはほとんど来ないザイオンが、マレーの入団会見に立ち会った。そのザイオンについてマレーは「ウチのスーパースターだ。僕は彼をプッシュするよ」と笑顔で語る。

ザイオンとマレーは数年前から連絡を取り合う仲だそうで、「ほぼ愛だね」とマレーは言う。「ザイオンが高校生の頃から成長していく過程を見てきた。彼がここに来るまでどれだけの努力を重ね、どんな困難を乗り越えてきたかを知っているし、僕が見ていない困難があったであろうことも想像できる。僕はこのチームの一員になったからには彼の人間性をもっと知りたいし、彼の家族のことも知りたい。それはザイオンに限らず、すべての兄弟に対して同じだ。さっきも言ったように、一番大事なのは人間関係だ。試合に勝ち、金を稼ぐよりも、お互いを理解するのが先だよ」

ホークスでの2年間は失敗に終わり、トレイ・ヤングとのデュオは最後まで機能しなかったが、マレーはそれについて多くを語ろうとはしなかった。「NBAでは勝利が目標とされるけど、それは一人の選手ではなくチームでやることだし、時には勝てないこともある。僕はただやるべきことをやるだけさ。バスケに打ち込み、素晴らしい人間になる。それを若い選手たちに伝える。スパーズはスパーズ、ホークスはホークスであって、今はペリカンズのことに集中したい。49勝を挙げてプレーオフに進んだチームがより良いチームになれるよう貢献したい」

「リーダーシップを発揮するつもりはあるか?」との問いに、マレーは「僕は子供の頃から常に正しい行いを意識して、自然とリーダーシップを発揮してきた」と答えた。「ロッカールームで『ああしろ、こうしろ』と言うつもりはない。自分が努力していないのに誰かに頑張れとは言えないよ。やるべきことをやっていれば、それが自然とリーダーシップになる。すべての試合、毎回の練習を大事にして、身体のケアを怠らず、適切な食事と休養を取る。個人としてもチームとしても自分たちが成長するために必要なことは何でもするつもりだ」

成功と失敗に一喜一憂するのではなく、ただ正しい行いを重ねていけば成功は自然に転がり込んでくるとマレーは信じている。「僕はルーキーだった頃、カワイ・レナードから『何も追いかける必要はない』と教わった。自分のやるべきことを毎日続け、毎年積み重ねていく。そうやって少しずつ上達していくうちに、NBAでやっていく自信を得られた。でも自信過剰にはならないようにしている。謙虚な気持ちを持つことが、また僕を高めてくれる」