ガディアガ・モハマド アル バシール

水野社長「今回、アジア枠でメインとなる選手を入れたいと考えていました」

6月19日、秋田ノーザンハピネッツはアジア枠で獲得した台湾代表ガディアガ・モハマド アル バシールの入団会見を行った。

26歳のガディアガは0歳から3歳まで千葉県で過ごし、セネガルでの暮らしを経て10歳から台湾で過ごしてきた。中学生まではテコンドーをやっていて、バスケットボールを本格的に始めたのは高校に入ってからだが、台湾屈指の選手となった。現在、台湾は3つのトップリーグが乱立しているが、その中のT1リーグで2シーズン連続のレギュラーシーズンMVPを受賞。また、昨年7月、日本代表が浜松で行った台湾代表との強化試合2連戦にも出場し、初戦で23得点、2戦目に18得点を挙げている。

これまで秋田はアジア/帰化枠で中国出身のビッグマン王偉嘉をロスターに入れていたが、今シーズンも1試合平均5分弱のプレータイムに終わるなど、主力の一員ではなかった。だが、189cmのスコアリングガードであるガディアガについて水野勇気社長は、「今回、アジア枠でメインとなる選手を入れたいと考えていました」と獲得の意図を語った。

「彼は得点能力が高く、古川(孝敏)選手が移籍した穴を埋める選手として期待をしています。また、1人で打開してプレーするタイプではなく、周りをしっかり生かす選手で我々のスタイルに合います。そして、足が非常にあり、ディフェンス面でもかなり貢献してくれると期待しています」

T1リーグはNBAと同じ1クォーター12分と、FIBAルールに比べて試合は長い。その点を考慮しても2シーズン続けて1試合平均20得点以上をマークと、非凡な得点力を持っていることは間違いない。また、本人も「得点だけでなく、ディフェンスも見てもらいたい。まずはチームから求められたことを遂行したいです」と、2ウェイ選手としての貢献に自信を見せる。

ガディアガ・モハマド アル バシール

「ヘッドコーチが試合を見に来てくれて、試合後に会ってすごく親近感がわきました」

台湾においてもBリーグの発展ぶりはよく知られており、ガディアガも「T1リーグで3年プレーした後、生まれた国である日本でプレーしたいと思っていました」と元々、Bリーグに強い関心を持っていた。その中で秋田を選んだ決め手は、何よりも自分を必要としている熱意を感じたからだ。

「ヘッドコーチが台湾まで試合を見に来てくれました。そして自分に会ってくれて、秋田がどういうところで、チームのスタイルはこうだと。もし加入してくれたらこういうことを求めていると明確に伝えてくれました。それによってすごく親近感がわきました」

ちなみに対戦を楽しみにしている選手として、Bリーグの看板選手と、新シーズンで一番の注目株の名前を挙げた。「(昨年、日本代表との試合で)印象に残っているのは富樫勇樹選手です。試合中や試合前後に少し話しかけてくれたことが印象に残っています。彼は素晴らしい選手なので楽しみにしています。また、今シーズンからBリーグでプレーすることを表明している渡邊雄太選手とマッチアップするのも楽しみです」

新シーズン、バックコート陣の新たな要としてガディアガが秋田ファンの大きな注目を集めることは間違いない。そして、台湾バスケットボール界も同様に関心を寄せているだろう。また、秋田には台湾との直行便も運行されており、「今回、彼のエージェントも来ていて、台湾からの観戦ツアーもできないかと話し始めているところです。ガディアガ選手を通じて台湾と秋田の交流の架け橋になれたらと思っています」と水野社長も語る、コート外でのポジティブな効果も期待されている。数カ月後、コート内外で彼が秋田、そして台湾をどのように沸かせていくのか楽しみだ。