トラジャン・ラングドン新体制でゼロからの再出発
昨シーズンに17勝だったピストンズは、今シーズンはさらに落ち込み14勝しか挙げられず、2年連続でNBA30チーム中ワーストの成績に終わった。現地6月19日に、ヘッドコーチのモンティ・ウィリアムズの解任を発表。モンティは昨夏に就任したばかり。当時最高額となる6年総額7850万ドル(約120億円)という超大型契約を結びながら、たった1年での解任劇となった。
サンズを再建から優勝候補へと引き上げたモンティだが、ピストンズでは良い仕事ができなかった。リーグ記録の28連敗という不名誉な記録を作る中で、チームの成長より目先の1勝を狙って連敗を止めに行くかのような采配をして、なおかつ勝てなかった。モンティは常に選手たちを擁護し、戦う姿勢を称えたが、チームを良い方向に導く手は打てないままだった。
ケイド・カニングハムの得点とプレーメークに依存し、彼がダブルチームで止められると他に打つ手なし。そのカニングハムも勝てないチームで無理をしてケガをする、という悪循環から抜け出せなかった。
シーズン終了とともにピストンズはトロイ・ウィーバーGMを解任し、トラジャン・ラングドンを新たなバスケットボール運営担当社長に据えた。ラングドンは自分で新たなGMを選び、その人物とともに新たなチーム作りをスタートさせるつもりで、前任者ウィーバーGMが連れてきた指揮官であるモンティを必要とはしなかった。ただ、モンティが新たなチームに行かない限り、ピストンズには長期契約が重く圧し掛かることになる。
この解任劇と、それに伴う費用負担はオーナーであるトム・ゴアスの許可を得たもので、フロントが一新されたことがヘッドコーチ交代に繋がるのは自然な流れと言うべきかもしれない。しかし、1巡目5位指名権を持つNBAドラフトを1週間後に控え、その直後にはフリーエージェントとの交渉解禁を迎えるこの時期に、新たなヘッドコーチを探すのは動きが遅すぎる。
ウィーバーの下で4シーズンに渡り再建が進まず不振続きだった過去から脱却するために、まずはその将来像をしっかりと描き出す必要があるのは確かだ。しかし、ラングドンはいまだ新たなGMも任命できていない。NBAファイナルが終わったばかりだが、ピストンズがシーズンを終えたのは2カ月も前のことだ。
モンティの解任は、ピストンズの混迷をまた印象付けるニュースとなった。これを最後にチームは上向きに転じるのか、あるいはウィーバー時代と変わらぬ『築いては壊してやり直し』が続くのか。ピストンズの次の一手に注目したい。
Bringing back our top dunks from the 2023-24 season…
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— Detroit Pistons (@DetroitPistons) June 11, 2024