「ファイナルは勝てなかったが素晴らしいシーズンを送れた」
マーベリックスはNBAファイナルで、シリーズ1勝4敗とセルティックスに圧倒された。個の強さ、チームとしての高い連動性を備えたセルティックスの堅守に、勝利した1試合以外はすべて100得点以下に抑えられたことが大きな敗因となった。
マーベリックスの大黒柱ルカ・ドンチッチは、プレーオフ22試合で平均28.9得点、9.5リバ ウンド、8.1アシストを記録。試合数が他のチームの選手より多かったことも影響しているが、今年のプレーオフにおける得点、リバウンド、アシストの3部門でリーグ最多の数字を挙げる見事なパフォーマンスだった。
ファイナルも胸部打撲の痛みを抱えながら5試合すべてでフル稼働し、平均29.2得点、8.8リバウンドと奮闘。だが、レギュラーシーズンでは平均9.8だったアシストがファイナルでは5.6に終わるなど、セルティックスの徹底マークによって味方の得点チャンスを演出するのに苦しんだ。
自身初のファイナルをほろ苦い形で終えたドンチッチは、「僕たちは負けた。何も言うことはないよ」とコメント。故障の影響について聞かれると、「故障がどれだけのモノなのかは、結果にまったく関係ないことだ。僕は試合に出て、(勝利を収めるのに)十分な活躍ができなかっただけだ」と語り、次のように勝者であるセルティックスを称えた。
「フィジカルで素晴らしいディフェンダーが揃っていた。セルティックスは素晴らしいチームだ。中心選手は長い間、一緒にプレーし、彼らはすべてを乗り越えてきた。成熟したチームで彼らから学ぶことがある」
望んだ結末は得られなかったものの、マーベリックスは、プレーオフ出場すら逃した前年から見事なステップアップを達成。ドンチッチ自身もカイリー・アービングとの連携に磨きがかかり、デレック・ライブリー二世、PJ・ワシントンにダニエル・ギャフォードといった新戦力がうまく噛み合ったチームに大きな手応えを感じている。
「素晴らしい進歩があった。僕たちは5ヵ月一緒に戦い、コーチ、チー ムメートと僕を支えてくれるメンバーに誇りを持っている。ファイナルは勝てなかったが素晴らしいシーズンを送れた」
満身創痍で激闘を終えたドンチッチだが、7月上旬にはパリ五輪の最終予選が控えている。母国スロベニアに強い愛着を持ち、昨年の『FIBAワールドカップ2023』など多くの国際大会に出場している彼への周囲の期待は大きいだろうが、「今は(最終予選の出場について)答えたくない。これから下さないといけない決断があり、今は少しコンディションを良くしなければいけない」とさすがに明言を避けている。近日中にドンチッチがどんな判断を下すのか、注目だ。