2024年の年明け頃に最終の意思決定を進めていた

広島ドラゴンフライズは6月17日、カイル・ミリングヘッドコーチとの契約が満了し退団することを発表した。

ミリングはアメリカ出身で、これまでに主にフランスでヘッドコーチとして活躍し、2017-18シーズンにはフランス1部でクラブを4位、ユーロカップでもベスト16に導いた経験を持つ。2020-21シーズンは横浜ビー・コルセアーズのヘッドコーチを務め、その後フランスのチームに移ることを発表し、横浜を退団したが、急転直下で2021シーズンから広島で指揮を執ることになった。3年目の今シーズンはワイルドカード1位(36勝24敗)でチャンピオンシップに進出し、次々とライバルを撃破して、チームをBリーグ初の栄冠に導いた。

ミリングはクラブを通して以下のようにコメントを発表している。

「3年間、すばらしい時を過ごさせていただき、ファンの皆様、ブースターの皆様、そして広島の皆様に感謝申し上げます!スタッフ、選手と私は3年間、一生懸命努力し、毎年成長し、このシーズンのチャンピオンとして終えることができました!3年間にわたる皆様のサポートに心から感謝しています。私の家族は、数多くの特別な思い出をいつまでも心に留め、大切にしていきたいと思います。広島は特別な人々で溢れる素晴らしい街でした。またお会いできることを願っています!皆さん、1、2、3勝ちじゃけぇー!!! 」

また、岡崎修司ゼネラルマネージャーは今回の決断のプロセスについて以下のように理由を説明している。

「ご存知の通り、他クラブ選手も含めた翌年の選手交渉・チーム編成は年明けの1月1日より本格的に開始されます。私たちは、以前よりお伝えさせていただいているように、B1最下位となったシーズンから、強豪クラブへの変革を計画し、早期のチーム編成を行う方針を掲げております。この理由としては、強化をするためには早期の意思決定が必要だということがあります。リーグの中で評価の高い選手やスタッフは早期の契約を勝ち取っています。そのためシーズン終了後に交渉をスタートした場合は、引き抜きなどによる戦力低下や他クラブからの補強が難しい状況に陥る傾向にあります。上記を踏まえて、今シーズンも大部分の編成をシーズン中に進めておりました。編成を進めるうえで、最も重要になるのが、ヘッドコーチです。クラブの方針とヘッドコーチの方針を反映したロスターを組むことがチームの成功には必須なうえ、継続選手の契約延長においても、新規選手の獲得においてもヘッドコーチが決まらなければ交渉が難しくなります。上記を踏まえて、具体的にはシーズン中盤の低迷していた時期である、2024年の年明け頃に最終の意思決定を進めておりました」

「クラブとしては、チームディフェンスの再建を目指して招聘したミリングHCによる長期間の指揮の中で着実な成長を感じていた面もありますが、3年目となる今シーズンの中盤には、停滞感を抱いていました。具体的には開幕からレギュラーシーズン中盤までの勝利数が伸び悩んだだけでなく、バスケットボールの内容としても、攻守にわたり成長を実感できないようなゲームが続きました。また、マネジメント方法や今後の方向性についての考え方の違いを感じてきておりました。このような中、先述したようにクラブがさらなるステップアップとして、次の体制を準備することと、ミリングHCが次のキャリアに進むことを考えると、双方にとって早期の決断が必要だと考えておりました。来シーズンにおいても、継続したい選手が多い中で、シーズン中盤にはCS進出に向けても成績が伸び悩んだこともあり、継続選手を留めながら、変化とさらなる成長をもたらすためには、コーチングスタッフの変革が必要だという意思決定をいたしました」

「意思決定をした後は、次のステップに進むことをすぐにミリングHCに伝えたうえで、最後まで一緒に戦うこととサポートをし続けることを約束してまいりました。ミリングHCは、この決定を伝えた後も、最後まで粘り強くチームを導いてくれました。プロのコーチとしての姿勢に感謝し、ミリングHCに敬意を表したいと思います。低迷していたドラゴンフライズの飛躍に貢献し、新たな歴史を作ってくれたミリングHCには、本当に感謝をしております。ミリングHCの今後のご活躍を心から祈念いたします」