クリスタプス・ポルジンギス

ポルジンギス本人は「出るつもり」も指揮官は慎重

明日(現地6月12日)行われるNBAファイナル第3戦を前に、セルティックスはクリスタプス・ポルジンギスが『珍しいケガ』を負っていることを発表した。プレーオフを通じて1カ月以上の欠場を強いられた右足ふくらはぎの肉離れとは別に、左足首の内側靭帯と後脛骨筋腱の痛みを抱えており、第3戦とそれ以降の試合への出場が危ぶまれている。

チーム練習に姿を見せたポルジンギスの歩く様子に違和感はなく、本人は「プレーするなと命じられない限りは試合に出るつもりだ」とプレーする意思を明らかにしたが、指揮官ジョー・マズーラはケガが深刻なものだと明言した上で、「出場するかどうかは彼が決めることではない。彼の仕事はできる限りの準備をすることだ」と語った。

ポルジンギスはNBAファイナル初戦で戦線復帰を果たし、20得点6リバウンド3ブロックと大活躍。第2戦でも12得点4リバウンド1アシスト2ブロックと上々のパフォーマンスで、チームを連勝へと導いた。ただし、先発はアル・ホーフォードに譲り、プレータイムは21分、23分と伸びていない。NBAファイナル初戦に合わせて復帰したのも少なからず無理をした結果で、右足ふくらはぎを気にしながらプレーした結果、左足首に必要以上の負荷がかかったのかもしれない。

ポルジンギスのリムプロテクト能力はマブスの攻めのリズムを狂わせるのに重要な要素で、ルカ・ドンチッチとカイリー・アービングの両エースのペイントアタックを止めるとともに、マブスの強力な武器であるアリウープを防ぐ意味でも効果は絶大だった。

ポルジンギスが欠場してもアル・ホーフォードがいるが、プレースタイルの異なる2人がプレータイムをシェアし、攻守ともに強度の高さを維持できるセルティックスの強みは失われる。ホーフォードはポルジンギス不在の間、平均35分近くに出場してインサイドを支えてきた。それでも38歳でスタミナは不安視されるし、ファウルをシェアできなくなるのも痛い。控えセンターのルーク・コーネットにポルジンギスほどのリムプロテクトの存在感はなく、もう一人のゼイビアー・ティルマンSr.はカンファレンスファイナル以降はほとんどプレーしていない。コート上の5人すべてが1対1の守備に強くて最初のズレを作りづらい状況がこの2試合は続いたが、ポルジンギス欠場となればマブスは『崩すきっかけ』を見つけやすくなる。

それでも、セルティックスに動揺はない。ポルジンギスが不在でも勝ってきた自信があるからだ。ジェイレン・ブラウンはこう語る。「彼がいるとチームはすごく良くなる。218cmのユニコーンだから当然だよね。オフェンスでは彼の存在が有利なマッチアップをたくさん作り出すし、ディフェンスでは相手のシュートに影響を与え、リムを守ってくれる。それでも僕らの戦い方はKP(ポルジンギス)が抜けても変わらない。彼の存在は大きいけど、僕たちは誰かが欠けても『ネクスト・マン・アップ』のメンタリティで戦ってきた。全員がこういう時のために準備をしていて、そのうちの誰かがステップアップし、全員で力を合わせて勝ちに行く」

デリック・ホワイトも同じ気持ちだ。「誰が出場してもKPと同じ仕事はできないけど、勝つために必要なことは何でもやってくれるはずだ。誰が出場するにしても、KPと同じぐらい信頼しているよ」

マブスのエース、ドンチッチも第1戦で負った胸の打撲が軽傷ではないようで、決して万全ではない。どのシリーズもそうであるように『プレーオフは健康勝負』の側面が色濃く出ている。ポルジンギスやドンチッチといった個々がコンディションの問題を乗り越え、チームとして『ネクスト・マン・アップ』のメンタリティを発揮できるかが、優勝争いを大きく左右する。