ニック・ファジーカス

永久欠番への想い「チームに変革をもたらすなど、何かを残した選手が特別な待遇を受けられます」

5月30日、今シーズン限りで現役引退となったニック・ファジーカスの引退試合『NICK THE LAST GAME』が行われた。12年間在籍した川崎ブレイブサンダースのチームメートや元チームメートに加え、日本代表で一緒に戦った選手たちなどファジーカスと縁のある選手たちがTEAM REDとTEAM WHITEに別れて参加。サプライズとして渡邊雄太も登場したイベントは大きな盛り上がりを見せた。なお、ファジーカスは前半をRED、後半はWHITEの一員としてフル出場を果たし、試合合計で73得点を挙げ有終の美を飾った。

ファジーカスは「素晴らしい企画だったと思います。試合が始まる前、自分自身もどんな試合になるか予想していなかったですが、蓋を開けてみればみんな楽しめたと思います。理想的な引退試合になったと思います」と総括する。

そして、これで引退するのがもったいないと思うくらい次々とシュートを沈めたパフォーマンスについて次のように語る。「5日前くらいにウェイトトレーニングをして、トレッドミルを2、3回走ったくらいの準備でした。5日前のトレーニングの後は筋肉痛がひどくて腕が全く上がらなかったです。この試合のために、特に何かをした訳ではなかったですけど、こういった結果となり、そこまでシュートタッチは失わないモノかと思いました」

また、試合終了後には彼の背番号22が永久欠番となることが発表された。これまでの貢献度を考えれば当然とも言えるこの栄誉について、ファージカスは「永久欠番はただ単に良い選手なだけでは選ばれないと思います」と考えており、自身のチームに対するコート内外の献身を評価されたことへの喜びを強調した。

「選手として活躍するだけでなく、そのチームに文化を根付かせたこと、人柄などすべてを総合して永久欠番は決まります。チームに変革をもたらすなど成績だけではないこと、何かを残した選手が特別な待遇を受けられると思います」

ニック・ファジーカス

「日本のバスケット界から姿を消したいとは思っていないです」

セカンドキャリアについて聞かれると、まずは現役時代もオフシーズンになると取り組んでいたゴルフへの熱意を語る。「ゴルフを極めたいです。奥さんに怒られない程度で、最大限ゴルフに時間を費やしたいと思います」

そして、「これからも日本のバスケット界から姿を消したいとは思っていないです」とうれしい考えを明かしてくれた。「ここから何ができるのかは決まっていないですが、やりたいのは育成世代に関わることです。僕から学びたい選手に今までの経験、知識を伝えていきたい。次世代の底上げが日本バスケの底上げとなります。次の世代が強くなっていけばオリンピックで勝つ、メダルを取ることに繋がっていく。成長に限界はなく、日本バスケを次のレベルに持っていく手伝いができたらと思っています」

また、自身の引退もあって新シーズンに向け大きくチームを刷新する川崎について、どんな文化を残してほしいのか尋ねると「究極には勝つことです」と語る。「これからも川崎には強豪としての文化を残してほしいです。今シーズンはプレーオフに出場できなかったですが、川崎には常にチャンピオンシップ、優勝争いに絡んでいてほしいです。僕自身は川崎、日本代表でもずっと勝ちにこだわってきました。これまでと同じく勝ちに貪欲なチームであり続けてほしいです」

次がいつになるかはわからない。だが、現役時代の疲れを癒し、心身ともにリフレッシュしたファジーカスが、再び日本バスケット界と関りを持ってくれることを楽しみに待ち続けたい。