川崎ブレイブサンダース

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

大黒柱ファジーカスを起点に逃げ切った川崎

川崎ブレイブサンダースvsサンロッカーズ渋谷のゲーム2。第1戦に続き、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントに苦しめられた川崎だったが、篠山竜青の4点プレーから流れをつかみ、ニック・ファジーカスが11得点を固め、最終クォーターを30-20で上回ることで連勝を飾った。

チームに合流したのが直前だったファジーカスは第1戦に続きベンチスタートに。その結果、チームは前日に続いてリバウンドに苦しむことに。第1クォーターから3本のオフェンスリバウンドを許し、ライアン・ケリーの3ポイントシュート、ロバート・サクレのバスケット・カウントに繋げられ、19-23とSR渋谷に先行された。

だが第2クォーターに入り、途中出場となったファジーカスの5連続得点で逆転すると、ファジーカスに意識が向いた瞬間に藤井祐眞がノーマークで3ポイントシュートを沈めるなど、8-0のランで盛り返す。さらにファジーカスをゴール下に配置するゾーンディフェンスでリバウンドを渡さず、セカンドチャンスポイントを封じた。

ゾーンディフェンスを攻めあぐねたSR渋谷は3ポイントシュートを多投するも、9本中1本の成功と不発。伊佐勉ヘッドコーチが「打たされすぎた」と振り返る第2クォーターは得点わずか9と失速し、32-45と13点のビハインドを背負って前半を終えた。

川崎ブレイブサンダース

オフェンスリバウンドで活路を見いだしたSR渋谷

それでも後半に入るとSR渋谷が巻き返す。サクレが高確率でミドルシュートを沈め、川崎のイージーなターンオーバーにも助けられる。ファジーカス不在の時間帯に再びオフェンスリバウンドで優位を作り、第2クォーターには決まらなかった3ポイントシュートが6本中3本と入り始めた。ファジーカスがコートに戻ってもSR渋谷の流れは変わらず。ケリーのバスケット・カウントで締め、56-55と逆転して最終クォーターを迎えた。

だが、勝負の第4クォーターのファーストプレーでSR渋谷はミスを犯す。伊佐ヘッドコーチが試合後に「最初のポゼッションでゾーンにチェンジングしたが、ギャンブル的なディフェンスになり、結果的に4ポイントプレーになった」と悔やむ、ファウルを受けながら3ポイントシュートを沈める篠山のビッグプレーが飛び出したのだ。

このプレーで主導権を握った川崎は、再びファジーカスを中央に置くゾーンディフェンスでオフェンスリバウンドを許さず、わずかではあるがリードを保ち続ける。残り3分半にはファジーカスがBリーグ4000得点目となるメモリアル3ポイントシュートを沈め、SR渋谷を突き放した。

その後も、このクォーターで11得点6リバウンド2アシストと圧巻の活躍を見せたファジーカスを起点に優位を保ち、最終スコア85-76で逃げ切った。

川崎ブレイブサンダース

「今のシュート成功率では、難しい試合になる」

勝利した川崎の北卓也ヘッドコーチは「連勝できて、リーグ再開後に良いスタートが切れた」と、結果には満足の様子。それでもリバウンドが課題であることはあらためて指摘している。「オフェンスリバウンドを13本取られて、セカンドチャンスポイント17点は取られすぎです。昨日よりはリバウンドに対しての意識が高かったですが、ここをどれだけ抑えられるかが一つのポイントになります」

その川崎の課題を突くオフェンスリバウンドから、第3クォーターには2桁ビハインドを覆す粘りを見せたSR渋谷だったが、大黒柱のファジーカスに屈する形で終盤に失速した。最終クォーターもゾーンディフェンスを攻略できず、8本打って成功なしに終わった3ポイントシュートも敗因となった。

伊佐ヘッドコーチも、平均より10本以上も多い試投数となった3ポイントシュート(30本中成功8本)について「30本は居心地の悪い数字。上位チームに対して、今の自分たちのシュートの成功率では難しい試合になると考えさせられる週末でした」と総括した。

勝敗は違えど、ともにチームの課題が明らかになる2試合となった。残り18試合、地区優勝やチャンピオンシップ出場を実現するには、どこまで現状の課題を修正できるかに尽きる。