辻直人

文・写真=鈴木栄一

他の代表選手が不発に終わる中、19得点6アシスト

3月2日、川崎ブレイブサンダースはリーグ戦再開初戦となるサンロッカーズ渋谷戦をオーバータイムの末に89-80で制した。この試合にはワールドカップ予選のWindow6に参加したメンバーからニック・ファジーカス、篠山竜青、辻直人、ベンドラメ礼生が出場。前半はベンチスタートのファジーカスが2得点、篠山とベンドラメが0得点と不発に終わる中、前半で11得点と立ち上がりからエンジン全開で、得意の3ポイントシュートを4本沈めての19得点、さらに6アシストと勝利に大きく貢献したのが辻直人だった。

「出だしが良く、途中で追いつかれて逆転されましたが、それでも我慢できて終盤に再逆転して良い形になりました。勝負どころで僕がターンオーバーをして迷惑をかけしまったのは反省して、シュートで良い仕事ができたと思います」

このように辻は、同点で迎えた第4クォーター残り1分半にスティールを許すハンドリングミスを喫したことに触れつつ試合を振り返る。そして現在、川崎は中地区で首位の新潟アルビレックスBBを5ゲーム差で追いかける状況であることから「今日の勝利はホッとしたに近いうれしさです。もう本当に落とせないので」と語る。

Window6で好調だったシュートタッチの良さを継続している辻だが、「精神面が大きいです」と代表でつかんだ自信を好パフォーマンスの要因に挙げる。また、「代表で経験したディフェンスの激しさを川崎でも継続しないといけない。これからもそれを積み重ねて、チームにも良い流れを呼び込みたい」と守備面での貢献も意識している。

辻直人

代表での経験を生かし「出場してすぐに決められた」

オーバータイム残り2分からコートに入り、その30秒後に8点差と突き放すダメ押しの長距離砲を沈めたのも代表効果だ。「延長の最後に決めた3ポイントシュートは、交代で出場してすぐに決められた。これは代表で経験したことを出せました」と、先発として長い時間プレーする川崎と違って、スポット的な使われ方となる代表での経験を生かすことができた。

川崎にとっては逆転での地区優勝に向けて、正念場となる3月が始まった。「今日のように出だしを良い形で入り、延長で見せたディフェンスの激しさを見せないといけない。また、こういう流れで延長に持ち込んで勝てたのはチームにとって自信になりました。そして、もっと勝気を前面にだして、まずは3月に一つも落とさない気持ちでプレーすることが大事です」と意気込みを語る。

中地区首位を走る新潟アルビレックスBBとの差は5ゲーム。まずは3月16日、17日にある直接対決まで連勝を伸ばすのが、今のノルマとなる。そのためには、本日が息子さんの誕生日であり、昨日の試合後のヒーローインタビューでは「それもあって、明日またここに立てるように頑張ります」と締めくくった辻の2日続けての長距離砲炸裂が必要となってくる。