佐藤賢次

33勝27敗と勝ち越すも、チャンピオンシップ出場を逃す

川崎ブレイブサンダースは5月13日、佐藤賢次ヘッドコーチの退任を発表した。

奈良県出身、現在44歳の佐藤氏は、東芝バスケットボール部(現・川崎)に入社し選手として活躍。2011年の引退後は川崎のアシスタントコーチとしてコーチングキャリアをスタート。2019年にヘッドコーチに就任し、天皇杯2連覇、2度の地区優勝をもたらした。5季目となった今シーズンは33勝27敗と勝ち越すも、チャンピオンシップ出場を逃し中地区4位に終わった。

佐藤氏はヘッドコーチとして過ごした、川崎での5年間を振り返り以下のようなコメントをしている。

「バスケットボールの試合は人生そのものです。良い時間帯があれば必ず悪い時間帯もあります。ちょっとしたきっかけで良い流れが生まれたりします。そのちょっとしたきっかけの裏に、選手の弛まぬ努力があったり、コーチ陣が寝ないで準備した映像や対策があったりします。逆に、ちょっとした躓きで悪い流れが生まれます。その裏には、日頃の何気ない悪い習慣があったりします。そのようなことを、1シーズン通してチームで共有し、理解し、支え合い、改善を繰り返してチームは成熟していきます。人が成長し大人になっていくような感覚です。毎シーズン、開幕の挨拶で「このチームの成長を一緒に楽しんでください」と皆さまにお伝えしていたのはこのような考えがあったからです。そんな貴重な経験を5シーズン分もさせてもらいました。すべてが私の人生の宝物になっていることは言うまでもありません。順風満帆ではありませんでした。1年目はシーズンが途中で終わり最後まで戦うことができませんでした。2年目3年目は試合だけでなくコロナとも戦うシーズンでした。4年目5年目は私の力不足で結果を残すことができませんでした。特に今シーズンは『NICK THE LAST』の特別なシーズンにも関わらず、うまくチームを導くことができませんでした。ファミリーの皆さまをチャンピオンシップに連れて行くことができず、本当に申し訳なく思っています。ただ、この5年どのシーズンも、スタッフ・選手と共に、改善点に真摯に向き合い、全力で最後までチームづくりに邁進できたことは私の誇りです。川崎ブレイブサンダースは今後も大きく発展し続けると信じていますし、もっともっと強いチームになっていくと信じています。いつかBリーグ優勝を勝ち取り、その先のアジアで一番になってくれるはずです。これからも川崎ブレイブサンダースの応援をどうぞよろしくお願いいたします。5年間本当にありがとうございました」

また、選手時代からチームメートとして22年共に歩んできた北卓也GMは、佐藤氏に対して以下のようにコメントをしている。

「佐藤ヘッドコーチとは、彼が2002年に選手として東芝ブレイブサンダースに加入してから、同じコートに立つ選手として、アシスタントコーチと選手として、ヘッドコーチとアシスタントコーチとして、ゼネラルマネージャーとヘッドコーチとして、あらゆる立場で20年以上の時を共に過ごしてきました。そこには楽しかったこと、苦しかったこと、タイトルを取り共に喜びあったことなど、とてもここに書ききれないほど数々の思い出があります。そして私の後を継いでヘッドコーチになってから5シーズン、クラブにとても大きなものをもたらしてくれました。クラブ創設から70年を超える長い歴史の中で、初めて天皇杯を連覇できたというのは彼の手腕ですし、クラブの歴史においてこの先も語り継がれる大きな功績です。ここ数シーズンは本当に苦しかったと思います。シーズン中やチャンピオンシップで主力メンバーを欠いて戦わなければならなかった場面も何度もありました。それでも選手・スタッフを鼓舞して、最後まで諦めずにプレーするチームをつくってくれたことに感謝しています」