マイク・ブーデンフォルツァー

アシスタントのチャールズ・リーはホーネッツへ

サンズはデビン・ブッカーとケビン・デュラントにブラッドリー・ビールを加えた『ビッグ3』で優勝を目指したが、チームはシーズンを通して安定せず。49勝33敗の6位でプレーオフに進んだものの、ティンバーウルブズに手も足も出ずにスウィープ負けを喫した。

シーズン終了からほどなくして、フランク・ボーゲルの解任が発表された。彼はレイカーズにディフェンス戦術をもたらしてNBA優勝を勝ち取った経歴を持つが、そのディフェンス戦術はサンズにはフィットしなかった。『ビッグ3』はケガが多くて連携が出来上がらないままプレーオフを迎え、プレーメークを託せるポイントガードの獲得というボーゲルの要求は無視されたままで、失敗の責任すべてが彼にあったわけではないが、誰かが責任を取らなければならない場合、その多くでヘッドコーチが『犠牲の羊』となる。

もっとも、彼は選手からの信頼を失うという大きな失敗を犯している。ブッカーもデュラントもビールも勝つために全力を尽くしたが、それぞれの力はバラバラに働き、一つにまとまることがなかった。勝てないことで、ハードワークをしていること自体がストレスになる。ボーゲルはその解決策を持っていなかった。

サンズのジェームズ・ジョーンズGMはボーゲル解任のリリースの中でこうコメントしている。「熟考の結果、チームには新たなヘッドコーチが必要だという結論に達した。フランクの仕事ぶりには感謝している。我々の目標は優勝できるチームを作ることだ」

『ESPN』のアドリアン・ウォジロナフスキ記者は、後任はマイク・ブーデンフォルツァーになる見通しだとスクープした。彼が入手した情報によると、すでにブーデンフォルツァーはスタッフを集めており、交渉は早い段階でまとまるとのこと。

ブーデンフォルツァーはバックスを5シーズンに渡り指揮し、2020-21シーズンにNBA優勝を勝ち取っている。ジェイソン・キッドの下でスター選手へと育ったヤニス・アデトクンボを中心とし、有能なサポートキャストで周囲を固めるとともに、ファイブアウトのバスケなどアデトクンボの能力を最大限に引き出す戦術を用いてバックスに50年ぶりの優勝をもたらした。スター選手をコントロールしつつ、その力を発揮させる手腕がサンズに買われたのだろう。

またホーネッツでは、勇退したスティーブ・クリフォードに代わる新たなヘッドコーチにチャールズ・リーが就任することが決まった。39歳のリーは、ホークスとバックスで10年間に渡りブーデンフォルツァーのアシスタントコーチを務めてきた。昨年にブーデンフォルツァーがバックスから解任されると、今シーズンはセルティックスでジョー・マズーラのアシスタントを務めている。

ブーデンフォルツァーが結果を出す中で、リーもヘッドコーチとして独立するチャンスが過去に何度かあった。2021年にはウィザーズの最終選考に残ったが、この時は不採用となっている。まだセルティックスがプレーオフを戦っているため、リーがホーネッツでの仕事に取り掛かるのはしばらく先になるが、就任決定のリリースで「ホーネッツのヘッドコーチになることは私にとって夢のような機会だ。才能ある若手が揃い、チームの将来を築き上げることに興奮している」とコメントしている。

ブーデンフォルツァーとリー、バックスで結果を出した2人が奇しくも同じタイミングで、大きなチャンスを手にしようとしている。