デマー・デローザン

写真=Getty Images

「以前と同じに戻るわけじゃないけど、僕は大丈夫」

昨年のシーズンオフにラプターズからスパーズにトレードされたデマー・デローザンにとって、2月22日にスコシアバンク・アリーナで行われる一戦は、退団後初のトロントでの試合になる。試合前日にトロント入りしたデローザンは、ラプターズへの思いを語った。

2009年のドラフト全体9位でラプターズから指名されたデローザンは、NBA選手になる夢を叶えてくれた球団のため、トロントでキャリアを全うするつもりでいた。その気持ちは行動にも現れ、フリーエージェントになった2016年のオフにはラプターズだけと交渉し、すぐに再契約を決めた。ラプターズ一筋のキャリアを送ると思われたデローザンだったが、昨夏に急展開が起こる。

プレーオフで2年続けてカンファレンス準決勝敗退となり、球団はフランチャイズプレーヤーを放出してでもチーム刷新が必要と判断。カワイ・レナードを中心とするトレードでスパーズに移籍することになった。

トレード成立前のデローザンが、球団から「放出しない」と伝えられていたことが明らかになり、ラプターズには批判が集中。失意のデローザンもしばらくコメントを出せなかったが、時間が経つに連れて冷静に考えられるようになり、彼は新天地での活躍を誓った。

スパーズにトレードされてから初めてトロントに降り立ったデローザンは「時間が全てを癒してくれる。それで以前と同じ状態に戻るわけではないけど、僕は大丈夫。もう切り替えられているから」とコメント。

レナード、ダニー・グリーンを加えたラプターズは、現在カンファレンス2位に躍進している。今シーズンのトレードデッドラインにも動いたラプターズは、ヨナス・バランチュナスらを放出し、グリズリーズからマルク・ガソルを獲得。デローザンが所属した1年前と比べて、ロスターは様変わりした。

明日の試合、チームの功労者である彼は温かく迎え入れられるだろう。デローザンは、どういう形での歓迎であっても、感謝の気持ちしかないと言う。「長時間のスタンディングオベーションでも、それ以外の何かであっても、とにかく感動するだろうね」

「後悔していることはない」と語ったデローザンは、ラプターズとの別れを、男女の別れに喩えた。「彼女(ラプターズ)も自分も、前に進んでいる。自分たちは今、幸せだから」

思いを遂げることができなかったとしても、人は歩んでいかなければならない。ラプターズとデローザンの関係は、形を変えて、これからも続いていく。