デイミアン・リラード

写真=Getty Images

スター選手のトレード要求についても自論

2012年のドラフト全体6位で指名された時から、デイミアン・リラードはトレイルブレイザーズの選手として、ポートランドでの優勝のため、全力を尽くしている。現代のNBAは、スター選手たちが3人以上集まって優勝を目指す『スーパーチーム』の時代だが、リラードはそうした傾向に関心を示すことがない珍しいスター選手の一人。その考えは、これからも変わらないようだ。

『Yahoo Sports』とのインタビューで、リラードは「優勝はしたい。けれど、それ以上に大事なことがある。その部分への影響を考えるくらいなら、自分は信念を曲げたくはない」と語った。

選手としては、最高の高みである優勝を目標すべきだろう。リラードも「自分だって優勝したいさ。優勝するために競い合っているのだからね。でも、それ以上に大切なことがたくさんある。それを学んだ」と言う。

「外に出て優勝しても、その決断をしたことで多方面に影響を与えたと言われる。自分が現役を終えた時に、周囲とどういう関係を築けるかが分かる。引退した時に、自分が現役時代にどういう状況だったかにかかわらず、良い関係にあった人たちに対して、正しい行いをしていたかが分かる」

こちらも最近の傾向になりつつあるスター選手のトレード要求についても聞かれたリラードは「多くの人に影響を与えること」とコメント。「自分は、周りの人間の状況、みんなの家族のことを考える。自分にとってベストなことを基準に決断を下す前に、周りの状況をじっくり考える」と、続けた。

リラードが優勝を求めてブレイザーズにトレードを要求したとしても、これまでの貢献度を考えれば、クラブ関係者も、ファンの多くも理解を示すだろう。しかし彼は、自分とともにトレードに出されてしまうチームメートの人生への影響を考える選手なのだ。そして、スター選手が一人トレードされれば、受け入れる側のチームも選手を放出することになる。中には彼らの意に反するケースも出てくるだろうし、彼らの家族にも少なからず影響を及ぼす。

非常に珍しいタイプのスター選手だが、これが『リラード流』の生き方。ブレイザーズでの優勝という目標を実現させるかどうかは別として、『偉大なフランチャイズプレーヤー』として彼の名前は球団史に未来永劫刻まれるはずだ。