馬場雄大

文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

「負けていた頃があるから今がある。初心を忘れずに」

昨夜行われたワールドカップ予選、アウェーでのイラン戦。日本代表は常にリードを保ち続ける展開の末に、97-89でアジアの強豪イランを撃破。連勝を7へと伸ばしている。

この試合でもローテーションの一角としてベンチスタートながら21分間のプレータイムを与えられた馬場雄大は、自身のスタッツこそ4得点2リバウンド1アシストと目立たなかったが、コートに立っている時間帯の得失点差は+14と、太田敦也と並びゲームハイの数字。ハードワークで攻守を支えることで、日本の勝利に大きく貢献している。

「アウェーで厳しい試合になると言われていて、それに勝利できて本当にうれしいです」と、馬場は価値ある勝利を喜ぶ。自身のプレーについては「ディフェンスから、ということはできました。相手のディフェンスに対してもう少し強気にアタックできたとは思います」と振り返る。

それでも、ニック・ファジーカスの強烈なロングパスを呼び込んで、ファウルを受けながらダンクを叩き込んだ一発は、初めてリードを2桁に広げた意味でも試合展開に大きなインパクトを与えた。「イランは戻りのディフェンスがあまり良くないとスカウティングで聞いていたので、そこは僕が先頭でやらなきゃいけないと思っていました。自分の仕事ができて良かったです」と本人も手応えは十分。富樫勇樹と狙ったアリウープは失敗に終わったが、それもご愛敬だ。

4連敗スタートからの7連勝で、ワールドカップ出場に王手を掛けた。ケガで欠場した2試合を除いて本予選では常に主力としてプレーし続け、7連勝すべてに貢献している。「自分たちも戦える、という気持ちを持てたから勝てるようになっている。気持ちの部分はすごく大きいと思います。まだまだワールドカップとは思いません。負けていた頃があるから今がある。初心を忘れずにやっていきたいです」

残すは24日のカタール戦のみ。カタールは昨日のフィリピン戦で大敗を喫して2勝9敗、グループ最下位に沈んでいる。敵地での試合とはいえ、今の日本が負ける相手ではないが、油断は禁物。「あと1試合、笑って帰れるように、『日本一丸』で戦いたいです」。そう馬場が言うように、長く厳しい予選の集大成となるパフォーマンスをカタール戦で見せ、ワールドカップ出場を決めて帰国してもらいたい。