レブロン・ジェームズ

NBAの覇権を争ったライバルがレブロンの今後を予想

ポール・ピアースはセルティックスに15年間在籍し、ケビン・ガーネットとレイ・アレンとの『ビッグ3』で2008年に球団史上17回目のNBA優勝を経験して永久欠番となり、殿堂入りも果たしたレジェンドだ。

現役時代には、3シーズン連続でプレーオフで激突したヒートのレブロン・ジェームズとライバル関係にあったが、引退後は「レブロンがいなかったら今の僕はなかった」とレブロンを良き競争相手と認め、選手としての実力だけでなく人間性も高く評価している。

その彼が『Undisputed』に出演し、プレーオフに向けた見通しを語る中でレブロンの所属するレイカーズについてこう語った。「レブロンもAD(アンソニー・デイビス)もシーズンを通してコンスタントに試合に出ている。オースティン・リーブスはキャリア最高のプレーをして、ディアンジェロ・ラッセルも実力を発揮している。それで9位は信じられない」

彼の出演は現地4月9日のレイカーズvsウォリアーズの試合前のこと。「9位と10位のレイカーズとウォリアーズによるプレーイン・トーナメントは見たくない。レブロンもステフ(ステフィン・カリー)も年齢を感じさせない素晴らしいプレーをしているのに、一発勝負でどちらかがいなくなるなんて。レイカーズは少なくとも8位、できれば7位に上がらなければいけない。レブロンとカリーのここでの対決は誰も見たくないし、彼ら自身もそう思っているはずだ」とピアースは語った。

その試合でレイカーズはウォリアーズに120-134の完敗を喫した。レブロンは体調不良による欠場明けながら33得点7リバウンド11アシストと大活躍。17点ビハインドの第4クォーター頭からコートに戻るとエンジン全開のプレーで9点差まで追い上げてレイカーズを勢い付けたが、この間に休んでいたカリーがコートに戻ると最初のポゼッションで3ポイントシュートを決められ、勢いは収束してしまった。レブロンの孤軍奮闘は報われず、これで7位サンズ、8位キングス、9位レイカーズ、10位ウォリアーズはそれぞれ0.5ゲーム差。レイカーズの残り試合はあと2つしかない。

そのレイカーズの今後について、ピアースは2つのシナリオを挙げている。その考察にはレブロンの息子、ブロニー・ジェームズの去就が含まれていた。「一つはレイカーズがカンファレンスファイナルかNBAファイナルまで勝ち進むこと。不可能だとは思わない。その場合、ブロニーは大学に戻ってもう1年を自分の成長に費やす。だが、レイカーズがプレーインで負けたりファーストラウンドで負けた場合、これは我々が考えるよりレイカーズの優勝は遠いことを意味する」

ピアースは続ける。「私がレブロンだったら、その時はトレードを要求して、ドノバン・ミッチェルと交換でキャバリアーズに行く。ミッチェルが契約延長の姿勢を見せないのはキャブズにいることを望んでいないからだ。そしてブロニーはキャブズに指名され、レブロンは息子と一緒にキャリア最後のシーズンを過ごすんだ。今シーズンのレイカーズ次第だが、あり得るシナリオだと思う」

今年に入ってすぐ、『ESPN』はレイカーズが今シーズン終了後にミッチェルかトレイ・ヤングの獲得に動くだろうと報じている。それを裏付けるかのように、レイカーズは2月のトレードデッドラインで大きくは動かず、ロブ・ペリンカGMは「このタイミングでの小さな改善のために、6月か7月のインパクトある動きを犠牲にしたくはなかった」とコメントしている。

レブロンはレイカーズとの契約をあと1年残しているが、プレーヤーオプションとなっている最終年を破棄すれば今オフにフリーエージェントとなる。これを破棄して最後の大型契約を結ぶ可能性がある一方で、彼自身がつい先日に「あと何年かと言われると、長くはないだろうね。いつ引退するかは分からないが、残された時間はそう多くない」と自分の引退時期についてコメントしている。

キャブズが本拠を置くオハイオ州はレブロンの故郷であり、キャリアの最初と長い長い黄金期の一部を過ごした場所で、社会貢献など様々な活動の舞台でもある。そんなキャブズに舞台を移し、ダリアス・ガーランドにエバン・モーブリー、ジャレット・アレンと組んで『最後に一花咲かせる』のは悪くないアイデアかもしれない。そこにブロニーがいれば、最後の挑戦は彼にとって特別なものとなる。

ピアースの挙げたシナリオは突拍子もないものかもしれないが、NBAで長い年月を過ごして多くを勝ち取った者の気持ちは彼らにしか理解できない。