ステフィン・カリー

エースの出場時間を30分に抑えてウルブズに逆転負け

ウォリアーズは8日間でアウェー5試合を戦う遠征をスタートさせた。現地3月24日、その初戦であるティンバーウルブズ戦では第1クォーターを27-18と先手を取り、第3クォーター終了まではリードを保ったものの、最後にひっくり返されて110-114の敗戦に終わった。

この試合で注目されたのはステフィン・カリーのプレータイムが29分50秒と伸びなかったことだ。第3クォーター残り4分でベンチに戻った時点で69-65とウォリアーズは4点リードしていた。バトンタッチしたクリス・ポールが試合をコントロールするが、カリーはなかなか戻らない。3点リードの第4クォーター頭から出るかと思えば出ず、そこからわずか45秒で逆転されても出ず、第4クォーター開始3分でタイムアウトを取った時にもカリーは出てこなかった。

指揮官スティーブ・カーがカリーを戻したのは第4クォーター開始から約5分後、2度目のタイムアウトを取ったタイミングだった。この時にはすでにウルブズに試合の流れが傾いており、89-97と8点ビハインドに。ここからカリーは2つのアシストを記録し、9得点を挙げたものの、ウルブズの流れを変えることはできなかった。

カリーの起用法は大いに疑問だったが、指揮官カーは「ステフに頼りっぱなしというわけにはいかない」と語った。「彼のプレータイムは30分程度にしたい。前の試合では35分出場させていたし、できるだけ休ませたかった。ウチにはクリス・ポールがいる。クレイ(トンプソン)もドレイモンド(グリーン)もいる。ステフだけに頼っていてはいけない。ステフのプレータイムが勝敗を分けたという見方には同意できない。我々が勝つには、彼を良いコンディションでプレーさせることが必要なんだ」

プレータイムをシェアしたのはカリーだけでなく、他の主力も同じだった。ウルブズはアンソニー・エドワーズを38分、ルディ・ゴベアを37分プレーさせており、目先の1勝を何が何でも勝ちに行く気迫が接戦を制する原動力になった。

カリー本人も、プレータイムを制限する指揮官カーのやり方には同意しているが、それで敗戦を受け入れるわけではない。逆転され、リードが広がっていく中でベンチに座り続けることを「少し不思議に感じた」と認めながらも「ペイサーズ戦では第4クォーターにずっとプレーして勝てなかった。今回はベンチで長く過ごして上手くいかなかった。ちょうど良いバランスを見いださなければ」とカリーは語る。

カーが目先の勝利にこだわらないのも、カリーがストレスを感じながらもそれに同意するのも、ウォリアーズがあくまでも優勝を狙っているからだ。プレーオフ進出を祝うチームではないし、プレーオフのファーストラウンドを勝ち抜いてもそれは変わらない。カリーの限られた全盛期のうちに5度目の優勝を勝ち取る。それ以外にウォリアーズの成功はない。

指揮官カーもカリーを始めとする主力選手たちも、シーズン序盤から不振に苦しみながらチームを立て直し、優勝争いができるレベルへと持っていく強い意志を示してきた。オールスターブレイクの時点でも、彼らはプレーオフのストレートインとなる6位を目指していた。今は上よりも下から猛追するロケッツを気にしなければいけない状況だが、それでも彼らは10位でレギュラーシーズンを終えればそれでいいとは思っていない。あと3週間でプレーオフで勝つ可能性を少しでも高める努力を続けている。だからこそ、ここでカリーの酷使は禁物なのだ。

ただ、今のチーム状況を考えれば、それは矛盾している。もはやウォリアーズにプレーオフを勝ち抜く力はなく、それが起きるとしたら『奇跡』だろう。このチームで奇跡を起こせるのはカリーだけ。指揮官カーもカリー本人も含むウォリアーズの全員が、自分たちの矛盾を理解しながらも『奇跡』を起こす可能性を少しでも高める努力を続けている。

ただ、彼らは現実も受け入れなければならない。11位ロケッツとのゲーム差は1まで縮まった。すでに直接対決での勝ち越しを決めているため実質2ゲーム差ではあるが、予断を許さない状況に変わりはない。カリーは言う。「順位表のこちら側にいるとは思ってもみなかった。その状況が近付いているのは分かっているけど、僕らは誰一人あきらめるつもりはない。僕がより多くの時間でプレーすることが必要なら、僕はそうするつもりだ」