オットー・ポーターJr.

ラプターズでの1年半はケガ続きで出場23試合のみ

オットー・ポーターJr.はNBAキャリア11年目を最後まで過ごすことなく、現役引退を決めた。2月にトレードされたジャズがリリースした引退発表の中で、彼はこうコメントしている。「この11年間、NBAでプレーするという生涯の夢をかなえることができ、NBAで優勝することもできた。ただ残念なことに、僕の身体は僕の望むようなレベルでのプレーができない。それで引退を決めた」

2013年のNBAドラフトで1巡目3位指名でウィザーズに加入した彼は、ウィザーズで5年半プレーした後、ブルズとマジックを経て2021年にフリーエージェントでウォリアーズに加入する。この時のウォリアーズは5年連続のNBAファイナル進出と3度の優勝を経て、ステフィン・カリーとクレイ・トンプソンの『スプラッシュ・ブラザーズ』がいずれもケガをするなどのアクシデントに見舞われ、2シーズンに渡ってプレーオフ進出を逃していた。ポーターJr.はケガが多く、ブルズとマジックで過ごした時期はほとんど良いところを見せられず。他にもっと良い契約を得ることもできたはずだが、彼はNBAプレーヤーとしての自分の可能性に挑戦すべく、優勝争いのできるチームを選択した。

ベテラン最低保証額での1年契約を余儀なくされたし、ウォリアーズの厳しいチーム内競争に勝てない可能性もあった。コンディションに不安のある彼としては大きな賭けだったが、ここでポーターJr.は鮮やかな復活を遂げ、シックスマンとして攻守に活躍する。レギュラーシーズンで63試合に出場し平均8.2得点、5.7リバウンドを記録。プレーオフでも19試合で平均19.5分の出場とローテーション入りし、ウォリアーズの王座奪還に貢献した。

しかし、彼が確たる結果を残したとしても、すでに実績あるスター選手を多数抱えるウォリアーズは、彼に良い契約を提示する余裕がなかった。そこで2022年オフ、彼はラプターズと2年1230万ドル(約18億円)の契約を結ぶ。若手中心の再建を手助けすることに自分の経験を生かせることにモチベーションを見いだし、さらに妻がトロント出身で街に馴染みがあったことも決断を後押しした。この時のポーターJr.は「ウォリアーズでの経験を生かして、若い選手たちと再び優勝争いがしたい」と抱負を語っている。

しかし、2022-23シーズンはハムストリングのケガで出遅れ、その後もケガが相次いだ。昨シーズンは8試合、今シーズンは2月まで15試合の出場のみで、わずかなプレータイムで『らしさ』を発揮できず。トレードデッドラインにジャズに放出され、ジャズでは構想外でチームに合流してもいなかった。そのジャズからウェイブされたタイミングでの引退発表。ジョージタウン大のスター選手として注目されてNBAにやって来た彼が、キャリアの大半をケガとの戦いに費やして、このような形で引退するのは残念だ。それでもNBAで10シーズン半を過ごし、優勝を勝ち取ったことは、彼にとって大きな勲章となる。