富樫勇樹

富樫とジョセフの妙技に沸いた会場

千葉ジェッツは『EASL Final Four 2024』の初戦でニュータイペイキングス(P.LEAGUE+・台湾)と対戦し、92-84で勝利して決勝に駒を進めた。

富樫勇樹は序盤からエンジン全開でチームを牽引した。高速ドライブで相手を切り裂き、プルアップスリーを連発。第1クォーターだけで13得点の荒稼ぎを見せると、勝負どころで次々とビッグプレーを決めてゲームハイの28得点を挙げた。

「反省点は多くありますが、勝負どころでこっちのシュートが入るまで我慢できたかなと思います。負けたら終わりのこの大会で、全員がしっかりルールを守って40分間プレーし続けた結果だと思う」。このように富樫はチーム一丸の勝利を強調したが、逆転の3ポイントシュートや勝利を決定づけるアシストなど、彼のここ一番のパフォーマンスが勝利に繋がったことは間違いない。

そして、いつも以上に自ら仕掛けて大事なシュートを打っていたように映ったが、それは相手のエースガードであるジョセフ・リンとのマッチアップがそうさせたという。「正直、ジェレミー・リン選手とコートで対戦したかった気持ちはあったので少し残念でしたけど、彼の弟(ジョセフ)が初っ端からすごく意識している感じもあったので、負けられないという思いでした」

ジョセフは高度なドリブルスキルの持ち主で、さらに緩急を使ったドライブは止めづらく、3ポイントシュートも高精度だ。富樫と同じように大事な場面で顔を出し続け、5本の3ポイントシュートを含むチームハイの21得点を奪われた。会場は華麗なシュートを決める2人の妙技に魅せられ、敵味方関係なく、大きな歓声を上げた。富樫もその独特な環境が自身のハイパフォーマンスに繋がったと言う。

「フィリピンはバスケがすごく人気の国なので、その雰囲気を味わえた試合でした。日本と海外では応援の雰囲気が違う中で、すごく楽しむことができました」

富樫勇樹

思わぬ苦戦「ここまで追い詰められるとは正直思っていなかったです」

結果的に終盤の勝負強さで上回ったことで価値ある1勝を手にしたが、追いかける時間帯も多く、スコア以上に千葉Jは苦戦した。富樫も「めちゃくちゃ強かったです」と驚きを隠せなかったようだ。「シューターが多いのは知っていたんですけど、自分でクリエイトできる選手が多いとは思っていなかったです。キャッチ&シュートだけじゃなく、ドライブも警戒して、かなりやりづらい相手ではあったと思います。ジェレミー・リン選手が出れずに、彼抜きでもこれだけ力のあるチームで、ここまで追い詰められるとは正直思っていなかったです」

それでも確かな強敵を打ち破り、決勝の舞台まで上り詰めた。Bリーグの過密日程や代表活動など、富樫はBリーガーの中でも最もタフなスケジュールを送っていると言えるが、それをネガティブに受け止めず勝利だけを目指している。そして、Bリーグの代表として決勝戦に臨む。

「ホーム&アウェーのスケジュールがキツイ中ここまで来れたので、逃したくない気持ちはありました。どのチームにも与えられるチャンスではないと思うし、自分たちでつかみ取ったチャンスです。あと一つ。日本、そしてBリーグを代表としてこの大会に出場させていただいているので、Bリーグの成長を他のアジアの国に見せつけられるように戦いたいです」

ジョセフとの『エースガード対決』は見る者を魅了した。そして、ここ一番でビッグショットを連発した富樫の知名度やインパクトはさらに増したことだろう。Bリーグの顔として、決勝では準決勝を上回るハイパフォーマンスに期待したい。