鈴木達也

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

復帰のチルドレスとの連携に自信

三遠ネオフェニックスは先週末の川崎ブレイブサンダース戦に連敗し、リーグ戦の中断期間を迎えることとなった。

川崎との第1戦では終盤まで2点をリードしながらも、フリースローを4本連続で失敗して突き放すチャンスを逸し、篠山竜青に3ポイントシュートを浴びて逆転負けを喫した。

4本連続失敗の3本目、4本目を投じた鈴木達也は「最終盤にフリースローを外してしまったことは切り替えないといけないですし、同じ場面で決めきれるようにしていかないと」と、反省の言葉を口にした。

それでも三遠を指揮する藤田弘輝ヘッドコーチが「これ以上のゲームはできないと思いました。選手はよく頑張ってくれて、あとは勝ち切るだけでした」と試合を振り返ったように、強豪の川崎を最後まで追い詰めたことは、三遠が目指す『ボールと人が動くバスケット』を選手たちが高いレベルで遂行した結果に他ならない。

現在、三遠は17勝23敗で中地区5位。2度の6連敗を喫するなど、思うように勝ち星が伸びなかったが、今年に入ってからの11試合では6勝5敗と白星が先行している。

「(ジョシュ)チルドレス選手が入ってから時間も経って、彼のやりたいこと、僕たちのやりたいことがうまく行くようになってきた。それは年明けから調子の良い理由の一つになっている」と鈴木は話し、チームに手応えを感じている。

Bリーグ初年度の三遠に途中加入したチルドレスは、チームをチャンピオンシップ出場へ導いた。「彼のやりたいことが分かるし、どんなプレーヤーなのか分かっているので、やりやすさはある」と、鈴木は再びタッグを組むことになったチルドレスとの連携に自信を見せる。

長い時間は使わないが、チルドレスを3番で使い、太田敦也とウィリアム・マクドナルドを同時に起用するビッグラインナップは、三遠にとって大きな武器となる。「ディフェンスでは敦さんがいることでインサイドを我慢強く守ってくれて、チルがやりやすさを感じています。チルのところにアドバンテージがあるので、ガードとしてうまく使っていきたい」と鈴木は言う。

鈴木達也

「勝ち切れる試合」を増やすことの必要性

藤田ヘッドコーチも「バスケットの質が上がっているのは間違いない」とチームに自信をのぞかせる。それはチームの遂行力が上がったことで、名古屋ダイヤモンドドルフィンズに連勝し、川崎とも互角の戦いを演じたことからも見て取れる。だが一方で、質の向上を結果に結び付ける次のステップを登る必要がある。鈴木も「個人としてやらなきゃいけない部分だったり、これからできることも多くあります。そこを突き詰めていきたい」と意欲を見せる。

鈴木の言う『できること』の一つには、ケガの回復も含まれている。鈴木は左肩関節亜脱臼の手術で今シーズンの開幕に間に合わず、最初の8試合を欠場した。「まだ肩も100%じゃないですし、肩をかばって腰のほうにも負担がかかってきてるので」と、身体に不安を抱えながらのプレーであることを明かした。

ケガを抱えながらプレーを続ける選手にとっては、この中断期間はコンディションを整える絶好のチャンスであり、「この期間を無駄にしないのはもちろんのこと、心身ともにリフレッシュしたい」と、鈴木は身体と頭の両方のリセットを考えている。

初年度はチルドレスが加入し、チャンピオンシップ出場を勝ち取ったが、昨シーズンは終盤に失速し、あわや残留プレーオフを戦う羽目になりかけた。そして、現在はチャンピオンシップのワイルドカード枠まで5ゲーム、残留プレーオフ圏内まで4ゲームと、どちらも考えなければいけない状況となっている。それでも、チルドレスが復帰し、鈴木のコンディションが戻れば、上り調子のチームの勢いはさらに増し、2度目のチャンピオンシップ出場に近づくはずだ。