追い上げを見せるも群馬クレインサンダーズに連敗を喫しバイウィークへ
シーズン開幕後の10試合を9勝1敗とリーグ1位の戦績で終え、スタートダッシュに成功した大阪エヴェッサ。川崎ブレイブサンダースや琉球ゴールデンキングスにも勝利して、その強さは本物かと思われたが、その後は主力の離脱もあり10連敗を喫するなど14勝25敗と黒星先行のシーズンになっている。
2月11日に行われた群馬クレインサンダーズとの第2戦は80-89で敗れたが、最大23点のビハインドを背負うも最終クォーターで巻き返し、1桁点差負けと次に繋げた。マティアス・フィッシャーヘッドコーチは「フィールドゴール成功率は群馬に比べて決して悪くなかったですが、ターンオーバーを多く犯してしまいました」と敗因を振り返る。
実際、この試合の2ポイントシュートは48.6%、3ポイントシュートは52.2%、フィールドゴール成功率は50.0%と群馬を上回った。しかし、15個のターンオーバーから16失点してしまいリズムに乗り切れなかった。
この試合は先発ポイントガードを務めた鈴木達也のコンディションが万全でなく、多嶋朝飛が今シーズン最長の23分19秒コートに立って気を吐いた。惜しくも追いつくことは叶わなかったものの、追い上げを見せた最終クォーターはフル出場し、ベテランらしくゲームとチームをコントロールしていた。
多嶋は現在の苦しいチーム状況と勝ち切れないことについて言及した。「シンプルに結果が出ていないので、シーズンの中でも難しい期間になってしまっています。チームがまだまだでき上がってないと感じていますし、やることをブレずに積み上げられていないので、40分間通じて発揮できておらず、もどかしさを感じています」
今シーズンからの新加入選手とはいえ、チームでは竹内譲次に次ぐベテランとして長らくトップリーグでの経験を積んでいる。特に以前まで所属していたチームでも勝ち星に恵まれない時期があったことも事実だ。その経験から、まとめ役を担うポイントガードとして、チームを立て直すために何が必要かも見えている。
「選手たちは一生懸命に戦っている状況ですので、どうやって勝ちに結びつけていけばいいかと常に前を向いています。簡単ではない状況ですが、いかにチームを一つにしてやっていくのか、40分間集中を切らさずにやるのか、自分たちがより良いバスケットをしていくにはどうすればいいのか、自分もポイントガードとして考えています」
「能力が高い選手もいるので、特徴を生かしたプレーで相手に的を絞らせない」
「みんなで共通認識を持ちながらやっていければ、向上する部分はまだまだあると思っています」と話すように、コミュニケーションを重要事項と捉えている。そして、「コート上にいる時には、選手で解決しなければいけないことは多々あるので、みんなが同じところに立てるように心がけています」とベテランガードとしての姿勢も感じられた。
終盤戦に向けてフィッシャーヘッドコーチは、ターンオーバー数を減らすことを休止期間中にクリアすべき課題として挙げていた。ターンオーバーは個々のミスからも起こり得るが、多くの場合はチームプレーに起因することが多い。多嶋もボールムーブについては課題であると考えており、課題だからこそ伸び代とも捉えている。
「現状、ボールが止まってミスが続いて流れが悪くなることが多いです。当然、ボールを止めながら戦うことも並行してやらなければいけません。僕が出ている間はなるべくボールを回すように心がけています」と話す通り、確かに多嶋は昔から球離れがよく、コートに立っている時間帯はオフェンスがスムーズにいくことが多い。
さらにチームのポテンシャルも感じており「ウチには能力が高い選手もいるので、それぞれの特徴を生かしたプレーで武器になるパターンが出てくれば、相手からしても的を絞りづらくなってくると思っています。流れが良い時は、すごく勢いがつくチームなので、そこに自分たちで持っていくためにみんなでそこを理解しながらやっていくしかないです」と続けた。
休止期間が明ければ、残りは21試合。終盤戦に向けて抱負をこのように話す。「苦しい時間帯には細かくハドルを組んで、みんなで確認をするという小さな積み重ねが僕は大事なことだと思っています。それを続けていって一人ひとりが気持ちを切らさずに戦える時間帯を増やしたいです」
今は苦しんでいるが、シーズン序盤は上位につけ、サプライズチームとして見られた。しかし、あれから他のチームもステップアップしているため、それ以上の変改や向上が大阪にも求めれる。ロスターに大きな変化があるわけではないため、再び、あの輝きを取り戻すことは十分に可能だろう。休止期間に立て直しを図り、再び『強い大阪エヴェッサ』が戻ってくることに期待したい。