『勝負の年』に結果を出すため、意欲的な補強に動く
ティンバーウルブズはピストンズからモンテ・モリスを獲得した。シェイク・ミルトンとトロイ・ブラウンJr.、2030年の2巡目指名権がピストンズへと譲渡される。
ティンバーウルブズはアンソニー・エドワーズ、カール・アンソニー・タウンズ、ルディ・ゴベアの『ビッグ3』体制で2年目となる今シーズン、35勝16敗と西カンファレンス首位にゲーム差なしの2位と絶好調。過去20年で3度しかプレーオフに進出しておらず、その3度ともファーストラウンドで敗退しているチームにとっては、歴史的なシーズンとなる可能性を秘めた『勝負の年』となっている。
『ビッグ3』を操るポイントガードはマイク・コンリー。昨シーズン途中のトレードで、ディアンジェロ・ラッセルとの入れ替わりで加入した司令塔は、巧みなプレーメークでチームを引っ張っているが、36歳のベテランに信頼できるバックアップ不在で負荷が高い状況は大きなリスクとなる。かつてのコンリーは得点力も非凡なものを持っていたが、ベテランになってプレーメークに重心を置いている。コンリーとはタイプの違う得点力のあるポイントガードとして、モンテ・モリスは以前からウルブズが関心を示していると噂されていた。
モリスは2017年のNBAドラフトで2巡目指名を受けて2ウェイ契約でナゲッツに加わった。ちょうどチームがニコラ・ヨキッチとジャマール・マレーのコンビを軸に強くなっていく時期で、それと足並みを揃えるようにモリスもナゲッツでの5年間で成長し、マレーがケガで全休した2021-22シーズンには先発ポイントガードを任せられた。2022年オフにナゲッツはモリスをウィザーズにトレードしたが、そこから今に至るまでマレーに続く2番手のポイントガードに苦労している。
そのモリスはウィザーズを経て昨年夏にピストンズへ移籍。それでも大腿四頭筋のケガで1月末までプレーできず、ようやく復帰してコンディションを上げつつあるところだ。ウルブズのティム・コネリーGMは、かねてから「選手を獲得する際には性格がチームに合うかが重要」と語っているが、かつてナゲッツでモリスを指名したGMだけに、モリスの性格は熟知している。個性的な選手が集まるウルブズのロッカールームにも上手く馴染むと確信を持っての今回のトレードだろう。
もともとコンリーの補佐となる役割は、セブンティシクサーズから獲得したミルトンに期待していたが、彼は結果を出せずローテーション外となっていた。トロイ・ブラウンJr.も同様で、シーズン序盤こそ重用されたが次第にプレータイムを失うことに。ウルブズはウィザーズのタイアス・ジョーンズも獲得候補としていたようだが、ウィザーズが1巡目指名権を要求したことで交渉は合意に至らず、ローテ外の2選手と2巡目指名権でモリスのトレードが決まった。
長期戦線離脱から復帰したばかりのモンテ・モリスは、本来のパフォーマンスを取り戻すまでしばらく時間を要するだろうが、コンリーがいるウルブズはそれを待つことができる。レギュラーシーズン終盤、そしてプレーオフでモリスの得点力、少ないターンオーバーでチャンスを作り出す力が発揮されれば、ウルブズにとっては大きな成功となる。