文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦、本永創太

「クラブの秩序・風紀を乱し」「改善の兆しがみられず」

アルバルク東京は今日付けでトロイ・ギレンウォーターとの契約解除を発表した。

きっかけとなったのは先週末のシーホース三河との第2戦。6点のビハインドで迎えた第4クォーター終盤、アイザック・バッツとの重量級マッチアップからギレンウォーターはジャンプシュートを放つ。この際のバッツとの接触でファウルの判定がなかったことに平静さを失ったのではないかと思われるが、こぼれ球を自ら取りもう一度シュートを放つも、こちらは完全に集中を欠いており、外してしまう。

攻守が切り替わり、自陣に戻ったところで審判はギレンウォーターのテクニカルファウルをコール。理由はコートにつばを吐いた行為があったためだ。この後、ギレンウォーターはベンチに戻らずロッカールームへと引き上げてしまった。

ギレンウォーターは『事件』の前から明らかにイライラしていた。伊藤拓摩ヘッドコーチは試合後、「彼も彼で成長しなければいけないし、僕も僕でどういう風にコーチングするのか」とコメントしていたが、クラブとして出した結論は『契約解除』だった。

Bリーグは今日、コートにつばを吐く行為に対して4試合の出場停止処分をギレンウォーターに下していた。

これを受けてA東京は契約解除に踏み切ったものと思われる。クラブ公式HPに記載された『契約解除理由』は、次のような厳しい表現となっている。「日本バスケットボール協会選手統一契約書第11条に定める制裁に処せられるなど、度重ねてクラブの秩序・風紀を乱し、クラブからの是正要求にも改善の兆しがみられず、改悛しないと認められたため」

ガードのディアンテ・ギャレットを擁するA東京は、ギレンウォーターを解雇すると外国籍選手のビッグマンがアンドリュー・ネイミックだけとなる。ギレンウォーターはあの『歴史的開幕戦』からここまで出場26試合すべてが先発で、1試合平均のプレータイムが22.2分。竹内譲次がいるとはいえ、平均12.2分しかプレータイムのないネイミックで戦うのは厳しいだろう。

ギレンウォーターの事実上の『解雇』は、日曜夜までは全く想定されていなかった事態。すぐさま代役となる外国籍ビッグマンを見つける必要があるが、優勝を狙うチームに見合うだけの実力を持つ選手を連れてこられるか。代役が見つかっても連携構築はやり直し。開幕から着実にケミストリーを積み上げてきたA東京にとっては、あまりにも痛いアクシデントとなってしまった。