2年目のビンス・ウィリアムズJr.が25得点
グリズリーズのジャ・モラントは、長期出場停止が明けたかと思えば9試合プレーしただけで右肩のケガによりシーズン終了となった。エースの離脱でグリズリーズのシーズンも実質的に終了となるかと思いきや、その後は勝率5割と粘り強い戦いを演じている。
ケガ人続出は今も止まらず、モラントだけでなくマーカス・スマートにデズモンド・ベイン、デリック・ローズにルーク・ケナード、サンティ・アルダマも不在となっている。それでも現地1月24日のヒート戦では、それら主力の半数を欠きながら105-96で勝利した。最後に危ない場面はあったものの、後半を通してリードを守り続ける安定した戦いぶり。この試合では2年目のビンス・ウィリアムズJr.が25得点、ルーキーのGG・ジャクソンがベンチからの出場で17得点、そして新加入のスコッティ・ピッペンJr.が同じくベンチからの出場で15得点を挙げた。
グリズリーズのヘッドコーチ、テイラー・ジェンキンスは「選手たちは厳しい状況にあることを理解しつつ、素晴らしいメンタリティを維持している。ケガ人は多いがメディカルチームやパフォーマンスチームは懸命に努力し、状況を改善しようとしている」と全員の健闘を称えた。
マイケル・ジョーダンとともにブルズの黄金時代を築いたレジェンドを父に持つピッペンJr.は、父とは違い身長185cmと体格には恵まれていないが、スピードとシュート力を武器とするシューティングガード。2022年のNBAドラフトでは指名を受けられなかったが、昨シーズンにはレイカーズの2ウェイ選手としてNBAデビューを果たし、6試合に出場している。今シーズンはプレシーズンに出場したもののレイカーズで居場所を確保できず、Gリーグのサウスベイ・レイカーズでプレーし、18.2得点、6.6リバウンド、6.2アシストを記録。ケガ人続出により選手の足りなくなったグリズリーズの2ウェイ契約選手となり、4日前のブルズ戦で新天地デビューを果たしていた。
チームに入って日が浅く、日替わりのラインナップで連携はできていないはずだが、コート上の両チームの選手をよく把握してまずはアシストを量産。ヒート守備陣がこれに対応しようとすると、今度は自ら得点を狙いに行き、効率良くシュートを決めていった。
攻守両面で良いプレーをしていたピッペンJr.は、第4クォーター残り3分半からクロージングラインナップにも入り、タイラー・ヒーローをスピードでかわしてレイアップを決め、さらにはリムに向かうドライブで相手を引き付けて左コーナーのウィリアムズJr.の3ポイントシュートをアシストし、クラッチタイムに存在感を見せた。
ケガ人続出で苦しんではいるが、1年目にはほとんど活躍の場がなかったウィリアムズJr.が6試合連続2桁得点とブレイクするなど、主力不在の中で若手が活躍している。しかもチームは目立つ勝ち方こそしていないが、大きな連敗をするわけでもない。今シーズンのグリズリーズに大きな飛躍は望めそうもないが、生きの良い若手が次々と出てくる流れは途絶えておらず、『その先』に向けた準備は着々と進んでいる。