クラッチタイムに大活躍、シクサーズに勝利をもたらす
第4クォーター残り7分半、マーカス・モリスの4点プレーでセブンティシクサーズがナゲッツに追い付いた場面で、ナゲッツはニコラ・ヨキッチを、シクサーズはジョエル・エンビードをベンチからコートに戻す。昨シーズンのファイナルMVPとシーズンMVPの一騎打ちがこの試合の勝敗を決めるという期待感にアリーナはたぎっていた。シクサーズのホームゲームで、フィラデルフィアのファンの願いはもちろん、エンビードがヨキッチを打ち負かすことだ。
エンビードは、その期待に完璧な形で応えた。最初のプレーこそヨキッチが距離のあるフローターを沈めたが、その直後にエンビードはドライブでゴール下に待つヨキッチへと迫り、トップスピードから華麗に変化するユーロステップから得点を奪う。続いてはマッチアップするアーロン・ゴードンとの間合いを測りながらジャンプシュートを決めて、バスケット・カウントももぎ取る。派手なセレブレーションを見せるエンビードに、ファンからMVPコールが降り注いだ。
さらにエンビードはヨキッチの手前から放った3ポイントシュートも沈め、再びゴードンの手前からミドルジャンパーを決める。ナゲッツの強引に放つ3ポイントシュートに当たりが来なかったこともあり、接戦だった展開から一気にシクサーズが10点リード。そのまま最後までシクサーズが落ち着きを失うことなく126-121で勝利した。
試合が終わるとエンビードはヨキッチの肩を抱いて健闘を称えた。エンビードは少なくとも今のところ、ヨキッチに対して過度なライバル意識を持ってはいない。「君は最高のプレーヤーだ。再来週にまた対戦しよう」と彼はヨキッチに声を掛けたという。
「ファンの間では、どちらが真のMVPかの論争が盛り上がっているみたいだけど、僕らは言葉じゃなく試合でのプレーで決着をつけたい。戦って勝ちたいんだ。ファイナルMVPの称号がある以上、ヨキッチがリーグNo.1のプレーヤーだ。でも、僕はまだ自分にチャンスがあると信じているよ」
両者の対戦はあと一回、デンバーでの試合が現地1月27日に予定されている。ただ、レギュラーシーズンの試合でどのような結果が出ようと、そこでどちらが優れたプレーヤーが決まるわけではないとエンビードは理解している。本当の決着を付ける時が来るとすれば、それはNBAファイナルに他ならない。