渡邊雄太

写真=Getty Images

10得点5リバウンド1アシスト、NBAで見せた存在感

グリズリーズは敵地チェサピーク・アリーナでサンダーと対戦した。

ベンチスタートの渡邊雄太は第1クォーター途中、2点ビハインドの場面で投入されると、すぐさま相手のドライブに反応してオフェンスファウルを誘発してサンダーの勢いを止める。ディフェンスリバウンドからボールをプッシュしてマイク・コンリーの3ポイントシュートへと繋いで逆転に成功すると、相手オフェンスのミスを逃さずボールを奪ってすぐさま攻めに転じ、相手選手2人の間を割って入るコースト・トゥ・コーストを決め、サンダーにこの試合最初のタイムアウトを取らせた。

第1クォーターの最後には、味方がリバウンドを押さえたと見るや誰よりも早く走り出し、縦一本のロングパスを受けてダンクを試みる。ホームでダンクは許さないとポール・ジョージのファウルに阻まれたが、これで得たフリースロー2本を確実に決め、32-27とグリズリーズがリードして第1クォーターを終えた。

第2クォーター序盤にもジェボン・カーターの完璧なアシストを受けてゴール下のシュートを決めたが、その後はサンダーにアジャストされて存在感を出せなくなっていく。これは渡邊個人だけでなくチームも同様で、ラッセル・ウェストブルックとポール・ジョージを軸とするサンダーの強力オフェンスを止められなくなっていく。前半は1点リードと踏みとどまったが、第3クォーターに19-32と圧倒されると、その後に盛り返す力はなかった。

そんな中でも渡邊はプレータイムを伸ばし、試合終盤にゴール下でのポジション争いで得たフリースローを2本決め、さらには強引なドライブからのフローターを沈めて10得点。27分のプレータイムとともにNBAでのキャリアハイの数字となった。

最終スコアは95-117、ディフェンスで勝負するグリズリーズとしては、失点を100前後に抑えないと勝利は見えてこない。前半は51失点と踏ん張ったが、大黒柱のマルク・ガソルを放出、ケガ人も抱えて8人で戦わなければいけない現状でサンダーと渡り合うのは難しかった。

それでも現在のチームで渡邊はロスター内での優先順位を上げている。チームが好調だった前半戦はベンチに入ったり入らなかったり、出番を与えられるのは勝敗が決まった後がほとんど、という状況だったが、皮肉にもチームが苦しくなったことでアピールの場を得ている。試合には敗れたものの、10得点5リバウンド1アシストは十分な数字。NBAで通用する実力を証明できている今、プレーヤーとしての評価を一気に高めたいところだ。