パリオリンピック出場にも意欲「逃したくない」
ネッツは16勝21敗、東カンファレンス10位で辛うじてプレーイン・トーナメント圏内に踏み留まっているが、それでも直近の7試合で6敗と苦戦している印象が強い。ケビン・デュラントとカイリー・アービング、ジェームズ・ハーデンの『ビッグ3』が解体された後、ミケル・ブリッジズやスペンサー・ディンウィディー、キャム・トーマスを中心とするチームに生まれ変わったが、タレント不足は否めない。
タレント不足は思いがけない形でも露呈している。バック・トゥ・バック(2日連続の試合)の2試合目となった年末のバックス戦、主力4選手をケガを理由に欠場させ、先発したブリッジズ、トーマス、ロイス・オニールも第1クォーターにしか起用せずに122-144で敗れた後、選手参加規程違反でリーグから10万ドル(約1500万円)の罰金を科されている。指揮官ジャック・ボーンは主力選手を過度に休ませた非を認めたが、苦しい台所事情を端的に表す出来事だった。
苦戦の要因は様々だが、最も大きな理由はベン・シモンズのコンディションが整わないことだろう。ハーデンとのトレードで加入した彼は昨シーズンには42試合に出場したが、今シーズンは開幕当初の6試合に出場しただけで、腰のケガを再発させて欠場が続いている。
シモンズはコンディションが良くなったり悪くなったりを繰り返し、厄介な腰のヘルニアだけでなく精神面でも問題を抱え、セブンティシクサーズに所属していた2020-21シーズンを最後に一度として安定しない。コンスタントな出場が計算できない選手ではあるが、彼がネッツの戦力はかなり底上げされる。
そのシモンズは少しずつ回復し、3対3の練習ができるまでにコンディションを戻している。現地1月11日に行われるパリでのNBAゲーム(キャバリアーズ戦)にも帯同しており、久々のメディア対応を行った彼は明るい表情で「コンディションは毎日少しずつ良くなっている。もうすぐ復帰できそうだ」と語る。
「試合のために来ているけど、パリの街を楽しむ時間も少しはありそうだ。家族と離れているけどチームメートと一緒に過ごすことで、友情や絆は深まる。そういう意味でこの遠征は僕たちにとって意義深いものになるよ」
フランスのメディアの関心は、シモンズがパリオリンピックに出場できるかどうかに向けられていた。長らく代表活動には参加できていないシモンズだが、オリンピック出場については前向きに語る。
「オーストラリア代表はメダル獲得候補で、素晴らしい選手と素晴らしいコーチに恵まれている。その一員として、国を代表してプレーできるチャンスがあるなら逃したくない」
現時点ではNBAでコンスタントに試合に出て、かつてのパフォーマンスをどれだけ取り戻せるかが問われるが、夏のオリンピック出場という目標がシモンズに新たな活力を与えているのであれば、それはネッツにとっても歓迎すべき出来事だ。