タイリース・ハリバートン

ハリバートンは31得点12アシスト、ターンオーバーなし

インシーズン・トーナメントでファイナル進出を果たしたペイサーズは、その後にやや調子を落としたものの、再び勢いを取り戻している。年末はロケッツ、ブルズ、ニックスに3連勝し、元旦には敵地でバックスを撃破した。この間、タイリース・ハリバートンは最高のプレーでオフェンスを引っ張っている。ロケッツ戦から33得点10アシスト、21得点20アシスト、22得点23アシストを記録。堅守に定評のあるバックスを相手にしても26得点11アシストを挙げた。この4試合で64アシストを稼ぎ出し、しかもターンオーバーは7しか犯していない。

そして現地1月3日、今度は舞台をインディアナポリスに移して再びバックスとの対戦が行われた。アウェーからホームへと舞台を移しての連戦はプレーオフの雰囲気が漂う。プレーオフの経験ではペイサーズをはるかに上回るバックスは、ペイサーズの機動力あるバスケへの対応に余念がなかった。ところが実際は、今シーズン最多の142失点を喫して敗れることになる。徹底的に抑え込むはずだったハリバートンには31得点12アシストを許し、しかもターンオーバーは一つも誘い出せなかった。

13度のリードチェンジを繰り返した前半を経て、第3クォーターにペイサーズが47-29と圧倒する。素早いボールムーブはバックスのプレッシャーをくぐり抜け、ワイドオープンやイージーレイアップなど、入るべくして入るチャンスを作り出した。その結果、このビッグクォーターにフィールドゴール23本中17本成功、そのうち11にアシストが付き、ターンオーバーは1つだけ。フリースロー10本を得て、9本を決めたのも大きかった。

恐るべきはチーム全体で連動する攻めで、ハリバートンのスキルと判断力はそのきっかけでしかないことだ。試合を通じてハリバートンを含め7人が2桁得点を記録し、他にも9得点の選手が2人いた。20本のシュートを放ったハリバートンを例外とすれば、最多は12本のオビ・トッピンで、バックスがどう守るかを見てからの『後出しじゃんけん』でシュートを放っていくのだから確率が落ちない。ペイサーズのポゼッションあたりの得点は1.3にもなり、第3クォーターに限れば1.65という衝撃的な効率の良さとなった。

バックスがどう守ろうとペイサーズの攻めが上を行った形だが、ペイサーズ守備陣はバックスで一番の驚異となるヤニス・アデトクンボのアタックを止めてもいる。これまではペイントエリアでどう防ぐか、ゴール下でダブルチームを仕掛けていたが、今回はフリースローラインでダブルチームで壁を作ってボールを手離すように仕向け、高速ローテーションでズレを埋めた。アデトクンボの得点は先の対戦での30から26へと微減したにすぎないが、シュートを打たれた本数は20本から13本に落ち、アシストも11から8へと減らして、オフェンスから締め出した。今シーズン序盤の対戦では54得点、64得点を奪われたアデトクンボを相手に、見事な対応と言える。

もう一人の得点源であるデイミアン・リラードにはブルース・ブラウンかTJ・マッコネルが交代しながら常に目を離さず23得点しか与えなかった。こうなるとリラードにはディフェンスの難が露呈する。外まで追いかける足のないブルック・ロペスも含め、ペイサーズは彼らを狙い撃ちにして、そこからズレを広げてイージーショットを作っていった。

ハリバートンは言う。「僕たちはこれまでの経験から学び、正しい方法でプレーできている。相手が守り方を変えたのに合わせて3ポイントシュートを良い形で打てるようになった。バックス相手に上手く3ポイントシュートが打てていないイメージだったけど、今日は40%決めることができた。第3クォーターは外した6本のシュートも良い感じで打てていたと思う。選手層の厚みを生かし、次々と入って来る選手が自信を持ってプレーしている。全員が試合に影響を与えられるんだ」

インシーズン・トーナメントを終えて失速し、再び調子を上げてきたことについて、「言い訳はしたくないけど、僕たちはこのレベルで戦った経験がない。トーナメントの高揚感がなくなった時に集中を保てなかった」と自分たちのミスを認め、こう続ける。「これも言い訳にしちゃダメだけど、疲れも溜まっていた。クリスマスに家族と過ごして、疲労を抜いて戻ってこれたのも良かった。いずれにしても、もう学んだ。同じ失敗は繰り返さないつもりさ」