レブロン・ジェームズ

20年間『NBAのキング』であり続ける奇跡

世間一般から見るバスケは『背が高い選手のスポーツ』であり『身体能力がモノをいうスポーツ』でしょう。NBAファンとしては『高度で細かな戦術』や『超絶スキル』に『強靭なメンタリティ』といった様々な要素が絡み合いながら、常識外のモンスターたちが理屈を狂わすイカれた世界として、すべての試合で異なるドラマが繰り広げられる最高のエンターテイメントです。

小柄で細身のステフィン・カリーが圧巻のシューティングスキルで身体能力至上主義を覆したかと思えば、ヤニス・アデトクンボの異次元の身体能力が新しい時代の幕開けを感じさせ、それを二コラ・ヨキッチが比類なきインテリジェンスでひっくり返す。目まぐるしいまでに時代が移り変わっていく世界です。

ですが、この20年間のNBAでたった一つだけ変わらなかったものがあります。それはレブロン・ジェームズが『キング』であること。ルーキーのビクター・ウェンバニャマが何人目かの『次世代のレブロン』と呼ばれていますが、それはこれまで期待された数えきれない若手が結局はレブロンのレベルに達しなかったことを意味します。

NBAキャリア4年目のシーズンであった2007年にファイナルへ進んだレブロンは、21年目のシーズンでインシーズン・トーナメントの初代MVPの座を勝ち取りました。誰もが持ち得ぬ経験値は一発勝負の舞台で別格の輝きを放ち、自身がスーパープレーを見せるのはもちろん、勝利への意思をチームメートに植え付けるモチベーターとしても機能し、レブロンさえいればどんなチームでも優勝候補となります。

ブルドーザーのようなフィジカルでディフェンスをなぎ倒し、意表を突くパスでショータイムを演出し、フェイダウェイの3ポイントシュートを簡単に決める。スタミナ面での衰えは隠せなくなりつつありますが、いまだに超一流の身体能力で破壊的なプレーも見せれば、多彩なスキルとインテリジェンスで現代戦術の先端を進み、抜群の勝負強さを発揮します。

身体能力がモノをいう世界で20年に渡りトップを走り続け、シューティングスキルが重要な時代になれば21年目のシーズンにしてキャリアハイの3ポイントシュート成功率を記録し、インテリジェンスが試合を制する時代では経験値で圧倒する。奇跡としか思えない39歳のキング・レブロン。ハッピーバースデー!