文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

我慢比べのロースコアゲームに持ち込んだ仙台のペースに

仙台89ERSは9勝23敗で東地区4位。17日のアルバルク東京戦を落としホーム10連敗と不名誉な記録を2桁に乗せてしまった。そのホームに京都ハンナリーズを迎えた一戦、勝ちパターンに持ち込むも終盤にミスから自滅、待望のホームでの勝利は手からこぼれ落ちていった。

立ち上がりから仙台はビハインドを背負う。ディフェンスを崩すことができずシュートセレクションが悪くなり、ドライブで打開を図るもファウルを取ってもらえず。ウェンデル・ホワイトがミドルシュートで最初のフィールドゴールを決めるまでに6分半を要し、第1クォーターのフィールドゴールはこの1本だけに留まった。

それでもオフェンスが停滞する間にディフェンスで我慢し、第1クォーターを7-17と10点ビハインドでまとめると、試合にオフェンスにリズムが出てくる。ボールをシェアし、インサイドにもパスを入れる連動した流れの中から放つシュートが高確率で決まる。京都がゾーンディフェンスに切り替えた直後に、楯昌宗がチーム初の3ポイントシュートを沈めて24-24の同点に追いつき、その後ホワイトのミドルシュートでこの試合初めてリードを奪うなど健闘。30-34と4点差として前半を終えた。

第3クォーターに入ると片岡大晴が強引な攻めで活路を切り開き、バランスの良いオフェンスから5人がゴールを決めて逆転に成功した。さらには守備も引き締める。得点源のケビン・コッツァーとマーカス・ダブに粘り強く対応し良い形でパスを入れさせず、シューターの岡田優介は徹底マークで3ポイントシュートを打つ機会を与えない。岡田には試合を通じて1本しか3ポイントシュートを打たせなかった。

47-44で迎えた第4クォーターも互いのシュートがリングに弾かれ、フリースローも決め切れない流れに。爆発力のない仙台にとって、我慢比べのロースコアゲームは『勝利のパターン』である。お互いに守り合い、しかもリードを保って時計を進められるのは願ってもない展開だった。

6点リードで迎えた終盤、仙台は攻め急いでミスを連発

ところが仙台は、オフェンス面での集中力不足、そして試合運びの稚拙さを終盤に露呈してしまう。残り4分52秒にチリジ・ネパウエのフリースローで54-48とリードを6点差に広げたまでは良かったが、ここからミスが出る。じっくり時間を使って着実に得点を奪って京都にボディーブローのようにダメージを与えるべき場面で、逆に攻め急いでターンオーバーを連発したのだ。

強豪相手に終盤の大逆転劇を何度も演じている京都は、相手のミスを逃さなかった。コッツァーが高確率でシュートを決め、岡田が徹底マークされている分だけフリーになりやすかった内海慎吾がこの勝負どころで3ポイントシュートを2本沈める。

内海の3ポイントシュートで11-0のラン、54-59と突き放された残り49秒で仙台はタイムアウトを取るも、ここからできることは限られていた。ファウルゲームを仕掛けるも、ここまで抑えていた岡田にきっちりとフリースローを決められ万事休す。58-63で仙台は敗れ、ホームでの連敗を11とした。

京都はケビン・コッツァーがチームハイの17得点、勝負を分ける3ポイントシュートを決めた内海が13得点と続いた。厳しいマークに苦しんだ岡田だが、「相手がフェイスガードでついてきたので自分自身は迷惑をかけてしまった。それでも京都は僕を止めれば勝てるようなチームじゃない」と、チームの総合力でつかんだ勝利を喜んだ。

敗れた仙台はホワイトがゲームハイの19得点を記録。片岡が13得点、チリジ・ネパウエが12得点4ブロックと続いた。得意のロースコアゲームに持ち込んだまでは良かった。だが勝負どころでのミスが続くようでは勝てない。この試合では片岡の終盤のミスが目立ったが、それまで果敢なプレーでチームに流れを呼び込んでいた片岡は責められない。仙台と京都、悪い流れでも踏み留まってチャンスを待つ『勝負根性』の差が勝敗を分けたと言うべきだろう。

接戦を落としホームの連敗記録を更新してしまった仙台。今日の第2戦で不名誉な記録を断ち切る勝利をブースターに届けたいところだ。試合は14時ティップオフとなる。