ポール・ジョージ

写真=Getty Images

「ケガをすれば、プレーは変わる」

昨シーズン開幕戦で負った左足首の脱臼、脛骨骨折という重傷からの完全復活に向け、奮闘を続けているセルティックスのゴードン・ヘイワードの心境を誰よりも理解できるのは、サンダーのポール・ジョージだろう。

ジョージは、2014年の夏、アメリカ代表のエキシビションゲームで右足の腓骨と脛骨を開放骨折する重傷を負った。完治までには少なくとも1年かかると言われた重傷で、その後のキャリアに大きな影響を与えかねないケガだったが、彼は2014-15シーズン終盤に復帰。2015-16シーズンに復活を果たし、現在に至っている。

そのジョージは、2月3日のセルティックス戦後、ヘイワードにアドバイスを送った。

「やり過ぎない方が良い。自分は運が良かった。ケガをした年のシーズン中に復帰できて、6試合プレーできたからね。そのおかげで上手く対応できたんだ。問題なのは、みんながジャズ時代のゴードンを期待していること。だけど、今の彼は、その当時の彼ではないんだ。彼はステップを踏んで進まないといけない状態」

「ファンも彼を追い込むべきではないし、彼自身も自分を追い込み過ぎてはいけない。ケガをすれば、プレーは変わる。1年も休んで、それで復帰したら、以前とは完全に異なる。彼には対応する必要があって、自分のプレーを取り戻して、リズムを取り戻さないといけない。すぐに以前の彼に戻れるという周囲からの雑音をブロックしないと。時間がかかって当然さ。自分がケガをした時には、感覚を取り戻すのには2、3年かかると医師から言われた。周りは完治すると言っていたけれど、実際には2年から3年かかった。彼にとってはマラソンのようなもの。でも、彼なら大丈夫だよ」

ヘイワード自身も、焦らずにやることが重要と、頭では理解している。それでも、逸る気持ちに苛立つこともある。ヘイワードは先日、『Boston Globe』に現在の心境を次のように語ったばかりだ。

「ダイヤモンドのような日もあれば、ただの石のような日もある。石のような日が続くこともね。同じようなことを、良い結果を残せた試合の後にも言ったよ。浮かれ過ぎても、沈み過ぎても良くないって」

経験者からのアドバイスは、大いに役に立つはずだ。2017年の夏に大型契約を結んだ重圧もあるに違いないが、ケガだけは誰にも予測できない。チームは東カンファレンスの優勝候補の一角であり、ヘイワードに結果を求める心情も理解できる。それでも、少なくとも今シーズンは一歩ずつ進み、新たなゴードン・ヘイワードの土台を築く方に、力を注ぐべきなのかもしれない。