ケビン・デュラント&デビン・ブッカー

楽なスケジュールに助けられ勝ち越してはいるが……

デビン・ブッカーとケビン・デュラント、ブラッドリー・ビールの『ビッグ3』が揃い踏みしたサンズですが、試合開始からわずか4分半でビールが足首を捻挫してロッカールームへと下がることになりました。シーズン通して3人が同時にコートに立ったのはわずか24分と、主力の欠場だらけでチーム戦術が固まらない状況が続いています。

そんな状況を表すかのような試合内容となったニックス戦は、ジェイレン・ブランソンに3ポイントシュート9本すべてを決められ、50得点を許しての敗戦になりました。

ブッカーが28得点9アシスト、デュラントが29得点6アシストと、両エースの活躍もあって終始自分たちのペースで試合を進めていたサンズに対して、ニックスは第3クォーター終盤から他の選手を捨ててダブルチームを仕掛け、この2人がボールを手放すよう仕向けました。サンズはここでパスを受けた選手がミスを繰り返したり、シュートまでたどり着けずに結局はブッカーかデュラントにボールが戻してしまい、時間のない中でのタフショットでオフェンスの効率が大きく落ちました。

またディフェンスでも、この試合で3ポイントシュートを決め続けたブランソンに対して後半には徹底したマンマークを強調したはずが、他の選手へのヘルプを優先したり、スイッチミスでブランソンをフリーにするシーンが多発しました。実質的に試合を決めることになった第4クォーター残り4分のブランソンの3ポイントシュートは、サンズのディフェンダー2人がお見合いするような形でフリーにしてしまったもの。あまりにもお粗末なコミュニケーションミスはチームとして大きな問題になっています。

『ビッグ3』の周囲にはプレーメークよりもハードワークをするタイプの選手を集めたサンズですが、結果として展開力の低さを露呈してしまいました。シーズンを通してみてもブッカーとデュラントはともに3ポイントシュート成功率が40%を超え、得点ランキング10位以内に入るなどリーグ最強のスコアリングデュオとして機能していますが、サンズの平均得点は12位に留まっており、チームとしては課題を抱えています。

揃わない『ビッグ3』とプレーメーク力不足のオフェンス、そして連携の未熟さで穴を作ってしまうディフェンスと、サンズの現状は厳しいものがあります。そんな苦しい状況でも13勝11敗と成績は悪くないようにも見えますが、勝敗の内訳を見てみると勝率5割未満のチーム相手には11勝3敗と勝ち越しているものの、勝率5割以上のチーム相手には2勝8敗と大きく負け越しており、楽なスケジュールに助けられている感は否めません。

ブッカーとデュラントが止められないコンビとして機能している反面、チームの弱点を利用されると一気に苦しくなるのがサンズの現状です。本来はディフェンスで耐え忍んで終盤のエース勝負に持ち込みたいところですが、ディフェンス戦術が浸透せず、強豪相手には通用していません。優勝だけが唯一の目標となるシーズンのため、弱点を補えるトレードも考え始めるべき状況です。