ドレイモンド・グリーン

ユニフォームをつかまれ、ヌルキッチの顔面を殴る

ウォリアーズのドレイモンド・グリーンがサンズ戦で退場処分を受けた。第3クォーター途中、サンズのユスフ・ヌルキッチとポジションを争っていた彼は、背後からユニフォームをつかまれていたことにカッとなったのだろう。反転しながら振り回した右腕がヌルキッチの顔面を直撃。ヌルキッチはそのままコートに倒れ、しばらく動けなかった。

レフェリーは映像を確認した上でグリーンにフレグラントファウル2を宣告。グリーンは自分が何をやったかを理解しており、抗議することなくコートを去った。116-119で敗れた試合後、グリーンは「意図的ではなかった」と説明する。「ファウルをアピールしようとしたんだ。わざとじゃない。あれだけ身体を反転させて顔面をとらえるような正確なパンチが打てるものじゃないよ」

しかし、ヌルキッチはそれに疑問を感じている。「彼が何をしたかったのか、僕には分からない。おそらく彼には助けが必要だろうね。首を絞められなくて済んだのは良かったけど、もうバスケとは全く関係ない次元の話だ」

グリーンの退場は今シーズンすでに3回目。ヌルキッチの言う「首を絞める」は前回、ティンバーウルブズのルディ・ゴベアが背後から首に腕を回された件のことだ。

グリーンは隙のないディフェンダーであり、賢いプレーメーカーでもあるが、そのバスケの根幹にあるのは「勝ちたい」という強烈な意思だ。その感情に突き動かされることで、彼はNBAでの成功を収めたが、このところは激情の抑制が利かずにトラブルを起こす頻度が増えている。そのたびに男らしく非を認めるが、キレやすい性格をあらためるわけではない。昨シーズン開幕前にグリーンは、若手の筆頭株だったジョーダン・プールを練習場で殴り、チームの団結を破壊した。そして今シーズン、これまでの23試合でグリーンが欠場もしくは退場になった試合は11試合になる。ゴベアの首を絞めた時には5試合の出場停止処分を受けており、今回も同程度の処分を受けるだろう。

楽観的なファンは、この時期にグリーンを欠いても3年目のジョナサン・クミンガやルーキーのトレイス・ジャクソン・デイビスの成長が期待できると言うかもしれない。ただ、そうなったとしてもそれはグリーンの功績ではない。

現実的に考えれば、ウォリアーズは空中分解寸前だ。サンズ戦のクラッチタイムには、調子の上がらないクレイ・トンプソンとアンドリュー・ウィギンズをベンチに置いた。計算できるプレーヤーがいない苦境にあるチームを、グリーンはまた出場停止で離れることになる。負け越している状況で、それらの試合を捨てるわけにはいかない。主力には無理がかさみ、ステフィン・カリーはシーズン折り返しのはるか前のこの時点でフル回転しなければならない。

スティーブ・カーは「映像を確認していないから」との理由でグリーンの退場処分についてのコメントを拒み、「ラインナップを変えざるを得なかったのは大きな痛手だ」と語ったのみ。グリーンは確かに過去4度の優勝の功労者だが、その振る舞いに問題があるのは明らかだ。現場の責任者であるカーが見て見ぬふりを続ける限り、ウォリアーズが優勝戦線に戻ることはない。