湊谷安玲久司朱

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

第2クォーターに12得点の活躍を見せるもチームは大敗

1月30日、横浜ビー・コルセアーズはシーホース三河に57-91、34点差の大敗を喫した。ホームを守れずこれで9勝27敗、得失点差は『-409』とリーグワーストの数字となったが、それでも横浜にとっては今後に期待できる明るい材料もあった。

試合開始直後、横浜はジャンプボールに跳んだプリンス・イベが足を負傷し、そのままプレー続行不可能となるアクシデントに見舞われた。イベの不在が響き、インサイドを支配された横浜は早々に大量ビハインドを背負ったが、そこから立て直し、第3クォーターには3点差まで詰め寄る粘り強さを見せた。

その時間帯を牽引したのが、キャプテンの湊谷安玲久司朱だ。川村卓也と交代でコートに立った湊谷は、ミドルシュート、ポストプレー、速攻と多様な攻めで次々と得点していった。「1本シュートが入って、今打ったら入るなという感じになっていたので、とりあえずボールをくれという状態でした」と、その時間帯を振り返る湊谷は、10連続得点を含む12得点を挙げて敗戦ムードを払拭した。

昨シーズンは右足アキレス腱断裂の大ケガを負い、今シーズンも右ハムストリングス肉離れで戦列を離れた影響で、プレータイムは平均6.4分とキャリアで最も短くなっている。それでも三河相手の目覚ましい活躍により、今後の起用法も変わってくるかもしれない。

湊谷も、「今日のようにチームを活気づけられるプレーができるようにしたい。毎試合いつ出ても監督の起用に応えられるように、これを続けていきたい」と意気込む。

湊谷安玲久司朱

「全員の集中力のなさ」により、終盤に崩壊

湊谷の活躍は横浜にとって明るいニュースとなったが、「結果的に負けているので。チームを勝たせなきゃいけない」と、湊谷は表情は暗い。3点差まで詰め寄ったは良いが、その後は続かなかった。ターンオーバーをことごとく得点に繋げられると集中の糸が切れ、本当に踏ん張るべき最終クォーターを5-27と圧倒されて大敗した。

直近の7試合で3勝4敗、得失点差もすべて1桁と、勝ち負けは別にして粘りのバスケットが展開できる手応えがあっただけに、この敗戦のショックは大きい。多くのファンの前で不甲斐ないプレーを見せてしまい、湊谷も「本当に情けない」とうなだれた。

「強いチームは、どんなゲームになったとしても最後まで徹底できます。そこの違いだと思っていて、15点差くらいになった後の全員の集中力のなさ、あれは全員で直さないといけない」

湊谷が言うように、強豪と呼ばれるチームほど劣勢を耐えしのぎ、自分たちの流れが来るのを信じて我慢できる。横浜も湊谷の連続得点からきっかけを作り、一度は耐えたが、そこまでだった。あらためてチームの未成熟な部分を露呈し、さらにはイベが負傷と、湊谷もショックを隠し切れなかった。それでもすぐに訪れる次の試合に向けて、気持ちを作っていくのもプロの仕事だ。

「日に日に良くはなっているんですけど、ゲームの最初にイベがケガをしてしまって厳しい部分もあります。シーズンは長く、ケガは仕方がないと思うので、気持ちを切り替えて、次の試合は勝ちにいきたい」

横浜は次節、現在3連勝中と調子を上げている三遠ネオフェニックスと対戦する。後半戦を迎え、残留プレーオフ争いを頭に入れなければいけないタイミングが差し迫っており、同地区の三遠戦は必勝が求められる。そのためには、湊谷の今回のような活躍が必要不可欠となる。

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