渡邊雄太はジョージ・ワシントン大での3年目のシーズンを戦っている。昨シーズンはNCAAトーナメント進出寸前まで迫った。全米の注目を集めるNCAAトーナメント進出は惜しくも逃したものの、出場を逃した32チームで争われるNITトーナメントでは優勝を果たした。渡邊はスターターとなりプレータイムを伸ばし、主力選手の一人としてこれに貢献している。
3年生となった今シーズン、渡邊はチームを引っ張る立場にある。前年の主力が抜けた今シーズンは苦戦が予想されたが、ここまで10勝9敗。2度の3連勝はあるが、2度の3連敗もあって安定しない。今年に入ってからも3連敗も経験、接戦を65-63で制して連敗を止めた1月18日のデュケイン大との試合後にインタビューを行った。
攻撃と守備の両面で自分が活躍しないと厳しい
──ここまで10勝9敗。今日の勝利で連敗を3で止めましたが、思うように勝ち星が伸びていない状況だと思います。その理由をどう見ていますか?
渡邊 3連敗中は相手のフィールドゴール成功率が高かったんです。最初のリッチモンド戦が60%以上、次のVCUがほぼ60%、ラサール戦も前半は70%くらい決められていて、ディフェンスが全然できていませんでした。自分たちの強みはリバウンドだと思っているんですが、相手にシュートを決められてしまうので、リバウンド数も減ってしまいます。とにかくディフェンス面でチームとしてできていない部分が多かったです。今日はそこを徹底的に修正して臨み、相手のフィールドゴール成功率が40%とこれまでより改善しました。これを続けなければいけないですし、それができれば自分たちの強みも発揮できると思います。
──敗れた試合を振り返ると、30点差で敗れたVCU戦のような試合を除けば接戦が多く、終盤に競り負けています。最後に詰めきれないのもやはりディフェンスが原因でしょうか?
渡邊 そう思います。とにかくチームとしてディフェンスをやっていかなければいけません。
──そんな中でも、渡邊選手は平均32.1分の出場で13.4得点、5.0リバウンド、2.4アシスト、1.3ブロックという好成績を残してきました。フィールドゴールと3ポイントシュートの成功率まで含め、ほぼすべてのカテゴリーでキャリアハイ。チームとしては苦しい中でも、個人的には手応えを感じているのでは?
渡邊 マンツーマンの際には自分のマークする相手にほとんどやられていないです。マークする相手に対しては徹底的につけるという自信があります。ディフェンス面では手応えはありますね。オフェンスでも最近はフィールドゴールの確率がまあまあ良くなっていて、積極的に得点に絡んでいけている。今年のチームは1年生も多いので、オフェンス、ディフェンスの両面で自分が活躍しないと厳しい。だからこのまま続けていきたいですね。
アシストでも貢献して、なおかつ自分でも得点を取る
──『今シーズンは主力として』という自覚を持ってプレーして、実際に胸を張れる数字も残しています。そんな中でも、勝ち星が思うように伸びていません。こんな状況下で、あと具体的に何をやっていくことが必要と感じていますか?
渡邊 周りを巻き込むというのが大事だと思っています。僕も1年生の時はA10カンファレンスがどれだけタフかというのが分かっていませんでした。今シーズンもカンファレンスゲームに入って以降、デビッドソン大にはホームで勝てましたが、その後は勝てなくなってしまいました。特に1年生はまだ、このカンファレンスの厳しさが分かってはいないというか……。まあ、この3連敗でだいぶ身に染みて感じたとは思いますが。
──だからこそ周囲を巻き込む必要があるんですね。
渡邊 経験がある僕や4年生のタイラー(キャバナー)が、プレーだけでなく、声を出して常に引っ張っていくことが大事だと思っています。今日はチームの中でリーダーとしてもやるべきことはできていたんじゃないかなと感じました。それが結果にも繋がりましたね。
──デュケイン大戦では相手のエースをマークしつつ、前半は上手くパスを回して5アシスト。後半は得点を狙いにいって、最終的には15得点5アシスト3リバウンド3ブロックというスタッツでした。チームが勝利したこともあり良い流れに見えましたが、どうでしたか?
渡邊 そうですね、今日は5アシストでターンオーバーは1つだけなので、これはすごく良いことです。チームを生かしつつ、自分も攻めるということができれば。僕以外にも得点を取れる選手はたくさんいるので、アシストでも貢献して、なおかつ自分でも得点を取る。そういうプレーを続けていきたいです。
──11月26日の練習中にふくらはぎを痛めて、以降の7試合を欠場しています。これだけ休んだのは久しぶりですよね?
渡邊 これまで骨折したりとか、高校の時は手術したりもありました。ただ、大学に入ってから試合を休むほどのケガは初めてでしたね。
──外からチームを見る中で学べたこと、気づいたことはありましたか?
渡邊 自分がコートの中でやっているのと、ベンチから見ているのではやっぱり全然違います。ゲームに出ている間は、特にディフェンスだと僕は相手のエースにベッタりつくことになります。だから正直、あまり周りが見えていなかったんですよ。それがベンチから見ていると、最後までチームディフェンスをやり切っていないというか、攻められたら引いてしまって簡単に点を取らせてしまったりとか、そういうものがすごく見えてきました。オフェンス面でもダメな時は足が止まってしまい、チームとして機能しなくなっていた。それがベンチから見ていて気になった点ですね。もちろんケガは良くないですけど、普段気づかないことに気づき、見えてきたという意味ではプラスだったと思います。
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